楽園の瑕  
2014.12.11.Thu / 20:21 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






失い傷つくことを恐れて、
人生に立ち止っている剣士たち。
結果として大切な者は、
永遠に手に入れることが出来ず、
後悔を押し殺して日々を生きる。

彼らは人生に迷っているわけではない。
その遥か手前の入り口で、
進むに進めずにいるだけだ。

ちょっとしたすれ違いや誤解。
それらが彼らを引き留める。
それらを振り払うには、
運命に抗えるほどに強い行動力が必要なのだろう。
けれど、それは難しい。

傷つくことを恐れて、
人生を進めなかった人々の後悔の想い。
そのヒリヒリとした渇きが痛く感じられる映画。




待ってくれるとばかり思っていた。
しかし、彼女は兄の妻になってしまった。
忘れることも出来ないまま、
さらなる説得もしないまま、
日々を無為に過ごす男、欧陽鋒。
本心では、兄嫁を愛している。
しかし、周りの状況と、なによりも、
兄嫁は欧陽鋒を忘れられないでいる。
気を紛らわすかのように、様々な女に手を出す男、黄薬師。


裏切った妻を許せない。
けれど、それでも妻を忘れられない。
妻の下に帰ろうとし、果たせなかった盲目の剣士。
妻に再び会うことができたのであれば妻を許したであろう。
とても、遠回りをしてしまった、男。


女性でありながら男として生きなければならない慕容燕。
叶わない恋だとは知ってはいるのだろう。
けれど、黄薬師が忘れられない。
男として生きなければならない。
黄薬師は別な女に恋している。
自分の本心を欧陽鋒に殺させようとし、しかし、本心を庇おうとする。


愛してるとは言ってくれなかった。
だから待つことを諦めた女性。
恋する人の兄の嫁となり、恋の駆け引きの勝者となるはずだった。
けれど、勝者はどこにもいない。居るのは敗者だけ。
欧陽鋒が再び自分を訪れてくれる日をひたすら待ち続ける。
そんな日が来ないことを知っているはずなのに。


彼らは、失い傷つくことを恐れて人生に立ち止っている。
結果として大切な者は永遠に手に入れることが出来ず、
後悔を押し殺して無為に日々を生きている。
彼らは人生に迷っているわけではない。
その遥か手前の入り口で進むに進めずにいるだけなのだ。
けれど、新しい人生を始めるには、
運命に抗えるほどに強い行動力が必要なのだろう。
もしくは、総てを忘れて新しく出直すしかないのだろう。

酒を飲んで総てを忘れようとした黄薬師。
忘れたくは無いが故に酒を飲まなかった欧陽鋒。
果たしてどちらが幸せなのだろうか?


けれど、大切な者の為に掟を破った男もいる。

名を成したい。そんな野望を抱いて故郷を後にした男、洪七。
掟で妻とは旅を共にすることは出来ない。
けれど、傷ついた洪七を懸命に介護する妻。
最後には掟を破り妻を受け入れる洪七。

掟と妻の愛情。
人生において、どちらが大切なのかは冷静に考えれば簡単に結論がでる。
だから、洪七は妻を選んだのだ。

しかし、答えを出せず、行動できない人々。
行動を起こし、恋に破れてしまうかもしれない。
愛しい人との仲が絶望的に閉ざされてしまうかもしれない。
けれど、結論が出た、そこから新しい人生を始められるのではないのだろうか?、


傷つくことを恐れて、
人生を進めなかった人々の後悔の想い。
そのヒリヒリとした渇きが痛く感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1246 / タイトル ら行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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