2014.12.18.Thu / 23:32 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




何事も最後は大団円
不満があるのは
まだ、その途上だから


余生をインドで過ごそうとした人々。
環境の劇的な変化により、
今まで見えなかったことが見えてくる。
そして新しい人生を進んでゆく。

環境が変わったからこそ、見えたのかもしれない。
けれど、日常生活に埋没している様々なこと。
それらに気付かなければ、
大団円にたどり着かないのかもしれない。
いや、それでもたどり着けるのかもしれない。

不思議で豊かな余韻を感じさせてくれた映画。




余生をインドで過ごそうとした初老の七人。
けれど、広告と差異がありすぎる現物。
しかし、もう戻れない。

新しい変化を柔軟に受け入れる人。徹底的に拒む人。
彼らの反応は様々だ。
長年連れ添ってきた夫を信じていた。
しかし、死んだ夫は借金を抱えていた。
それは裏切りにも似た行為。
そんな過去を振り切る為なのだろう。
インドという新しい環境で人生の冒険を始めたイヴリン。

映画の冒頭で、サービスセンターに電話をするイヴリン。
このシーンから、イヴリンが生活の大半を夫に頼ってきたことと、
イヴリンが未だに深い悲しみの中に居ることが分る。
それは夫を二重の意味合いで失った悲しみ。
夫が死んでしまったことと、信じていた夫が、
家を売る相談さえ、してはくれなかったという辛すぎる事実。

インドでイヴリンが目指したことは、自立すること。
けれど、それだけではない。
人の事を思いやり、接すること。そして信じあえること。
無意識ながらも、それらを欲していたようにも思える。



長年連れ添ってきた、ダグラスとジーン。
娘の事業が失敗しインド行きを選んだ夫婦。

インドでは対照的な行動を取る二人。
総てを受け入れ楽しもうとするダグラス。
総てを拒絶して一人閉じこもるジーン。

夫婦ではあった二人。
けれどインドに来る前から、二人の関係は終わっていたのだろう。
日常生活では気付かなかった。
けれど、環境が変わり、お互いが欲する生き方が見えてきて、
その終わりを意識せざるを得ない日が来てしまったのだろう。
どちらの生き方が良くて、どちらが悪いという訳ではない。
ただ、欲していた生き方が違ってきてしまった、ということだけだ。

映画のラストでは、ダグラスは一度は空港までジーンを追っていったようにも見える。
空港で一人、心の整理をしたのかもしれない。
女は大胆に決断できる。男は悩む、ということなのかもしれない。



過去の清算の為にインドを訪れた、グレアム。
それは長い間の夢、しかし、勇気が無くて踏み出せなかった夢。

友人は悲惨な生活をして自分を憎んでいるのかもしれない。
けれど、そう思い込むことで自分を責めていたのだろう。
悲惨な生活は友人ではなく自分自身であった。
それを知ったグレアムは、最後には救われたのだろう。



子供たちと上手く行かない生活に疲れたのかもしれない。
新しい恋を求めてインドにきた、マッジ。
しかし、ノーマンのキューピット役を買って出る。
お互いの気持ちが理解できたからなのだろう。
けれど、お互いを恋愛対象にはしないことが可笑しい。



白人至上主義の老女、ミュリエル。
しかし、自分と同じ立場のインド人の女性を見て、
次第に考えが変わっていく。
家族同然と考え仕えてきた主人に簡単に捨てられた。
それは存在を無視されるが如く。
自分の存在を認めてくれたと喜んだ、インド人の女性。
その気持ちは同じなのだ。

帰国しても、することは無い。
家の掃除だけなら一日30分。
でも、ここでなら自分が生かせる。
ラストでは、皆に助言し残ることを促す。
そして、立ち上がり歩き始める。
それは新しいことを始める素晴らしさと可能性を示したかったからなのだろう。
そんなミュリエルがとても素敵でかっこよく見える。



ホテルの支配人、ソニー。
とても無茶苦茶だがバイタリティ溢れる青年。
まるで彼がインドを体現しているかのように、
希望に溢れ、真っ直ぐで、騒々しく、活力に溢れている。
こんな人と付き合っていれば大変かもしれないが、
楽しい日々を送れそうだと思わせてくれる。
宿泊客たちも、そんなソニーの情熱に感化されたようにも感じられる。
そして若くても新しい人生を始めるのは大変なこと、
けれど、素晴らしいことであることを教えてくれる。


新しい生き方を始めた七人の宿泊客と宿主。
果たして彼らに大団円が訪れるのか否か。
けれど、不満があっても、まだ途上、なのだろう。


日常生活に埋没している様々なこと。
それらに気付かなければ大団円にたどり着かないのかもしれない。
いや、それでもたどり着けるのかもしれない。
不満があっても、まだ途上、なのだから。


不思議で豊かな余韻を感じさせてくれた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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