天才スピヴェット  
2014.12.30.Tue / 22:00 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




あなたにも
きっと松の木が見つかる


天才的な発明家である少年。
けれど、天才といえども、まだ十歳。
幸せになる為の方法。
この世界の仕組み。
父親と母親が注いでいる自分への愛情。
そんなことの、すべてを理解できるわけもない。

一人で旅に出る。
それは 、
ここは自分の居るべき場所ではないと思い込んでいたから。
でも、本当は寂しかったから。

旅を通じて知り合った奇妙な人々。
親切で優しい。時に厳しいことも言う。
けれど世界は愛に満ちている。

自分を利用しようとした様々な人々。
知らないうちに利用され、疲弊され、人生を狂わすとこだった。
でも、知らないうちに自分を見守ってくれていた母親と父親。


家族故に本音を語れず周り道をした。
けれど母親も苦しんでいることを知る。
父親も口数が少なすぎて単に不器用なだけだった。


世界は幸せに満ちている。
それに、本人が気付きさえすれば。
そんなことを描くジュネの映画が大好きだ。
だれにでもきっと松は見つかる。
そんな、とても幸せな気分にさせてくれる映画。





天才的な発明家である、スピヴェット。
10歳でスミソニアン学術協会から、
最も優れた発明家に授けられるベアード賞を受賞した少年。
牧場を営む、100年前のカウボーイの精神を持つ父親。
昆虫を研究している母親。
演劇よりはアイドルを目指す姉。
傍から見るととても幸せそうな一家。
けれど、スピヴェットは幸せではない。

事故で死んでしまった弟。
弟の死は自分の責任。
そんな思いを心の底に隠してはいるが、それが自分を苦しめる。
父親は自分よりは弟のほうが好きだったはず。
誰も自分を責めないが故に、なお辛い。

母親に、母親としての仕事を辞めたのかと問い詰めるスピヴェット。
しかし、スピヴェットは、
辞めたのは研究のことと偽って話を誤魔化してしまう。
本音を語れない分、なお辛い。

家を出ることを決めたスピヴェット。
ここは自分の居るべき場所ではないから。
でも、本当はとても寂しかったから。


旅でめぐり合った様々な人々。

貨物列車で知り合ったお爺さんを、
ドミニク・ピノンがとても優しく演じている。
そのお爺さんから語られる松の木の話。
反論はしたものの、その本意をスピヴェットは理解したのだろう。

ホットドック屋のオバさんは、総てを見透かしているよう。
でも厳しい言葉の中に優しさを感じさせてくれた。

トラックで博物館まで運んでくれたおじさん。
それが一時のことであるとしても、
人と人とが巡りあうことは素敵なことであることを教えてくれた。


スミソニアン博物館の受賞パーティーでアイドルになってしまったスピヴェット。
はるばる旅をしたのはモルモットになって脳波を測定させる為?
それともテレビや雑誌に載って有名になる為?
このままでは利用され、操られ、自分を見失ってしまっていただろう。
それを助けたのは母親と父親。

弟が死んだのは母親が研究に没頭していたから。
銃を与えて二人で遊ぶようにしたから。
本当は母親も苦しかった。
心が空っぽになってしまい、スピヴェットを助けることも出来ない、
と勘違いをしていた。
本当は、お互いの苦しみを分かつこと、そして相手を助けたいと思うことで、
お互いがお互いを救うことは出来るのだろう。


喧嘩をして最後まで仲直りしなかった父と母。
なぜ、二人は結婚したのか。何が二人の接点だったのか?
けれど、二人は愛し合っている。
世界には、観察からだけでは分らないことは沢山ある。
表面からだけでは分らないことは沢山ある。


世界は幸せに満ちている。
それに、本人が気付きさえすれば。
そんなことを描くジュネの映画が大好きだ。
だれにでもきっと松は見つかる。
そんな、とても幸せな気分にさせてくれる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1250 / タイトル た行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

天才である事はあまり重要でない気がしましたが、
「観察からだけでは分からない・・・」にかかってくるのでしょうね。
軽いタッチで進められていたので、
一つ一つの出来事が淡々としていたものの、
子供にとっては大きな出来事でしたね。

ジュネの映画は「アメリ」しか観てませんが、
そう言われるとあちらも幸せな気分にさせてくれた作品でした。

2015.09.15.Tue / 15:04 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

YANさん、こんばんわ。

やっと、TB晴れました。
とても不思議です。

どんなに賢くて、総てを判ってるつもりでも、
実は知らないこと、大人にならなければ分らないことが、
沢山あるということですね。
世界は、そんなものが隠されている宝の山で、
実は、身近なところに真実と幸せがあった、
というところでしょうか?

ジュネの映画は、昔のものは、少しブラックなのですが、
最近の映画は軽快なものが多いです。
機会があれば、どうぞ。

それじゃ、また。

2015.09.16.Wed / 23:00 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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