レッド・ファミリー  
2015.02.26.Thu / 23:35 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






祖国に残してきた家族の為に、
過酷な任務をこなす工作員たち。

家族に会えないが故に他人との絆を無意識のうちに求める。
腐敗していると思っていた隣人家族が羨ましく感じられる。
そして、いつしか擬似家族が形成されてゆく。

しかし、その情故に工作員としては失敗し、
されど、その情故に、最後には真人間として、
罪の無い隣人家族の殺害を思いとどまる。
自身の家族の為とはいえ、罪の無い隣人たちを犠牲にしても良いのか、と。

映画の冒頭はコメディ調。
けれど、家族の喧嘩にすら憧れる工作員の哀れさが心に重く圧し掛かる映画。




以前は同じ祖国であった。
しかし、今は敵同士。
その敵国に潜入した四人の男女。
擬似家族として世間を欺き、潜入工作員として過酷な任務をこなす彼ら。
隣の家族は、如何にも資本主義に毒された一家。
お互いを敬うどころか、罵り合う。
自分の役割を放棄する。
サラ金から返せる当ての無い借金をする。
物を粗末に扱う。使えるものでも捨てる。
ゴミでも鳥の死骸でも隣に捨てる。
まさに堕落した一家に見える。
この辺りは、とても皮肉な描き方なのだけれど、
それでも、思わず笑えてしまう。


工作員たちは何も来たくて来たわけではない。
祖国に残してきた家族の為に過酷な任務をこなす。
祖国への忠誠や愛情もあるかもしれない。
けれど、いつまで同じことを繰り返せば良いのか?
何十年と同じ任務をこなしても一向に何も変わらない。

家族に会いたい。動物園に一家で行きたい。
この国では当たり前に出来る望み。しかし、彼らには不可能な願い。

隣人たちと徐々に親しくなっていく四人。それは世間を欺くため。
けれど、だんだんと彼らが羨ましくなっていく。
喧嘩できるだけでも彼らは幸せなのだ。
我々には喧嘩すらできないでいる。
頭で考えれば、隣人は腐敗した一家。
けれど、心で感じるのは、愛情溢れる一家。
そして、四人の願いから、
日常というもの、そして、平和の有り難味を強く感じさせる。


工作員ならば、もっとクールに徹しなければ、、、
けれど同じ想いを抱えた同士。
家族が窮地に陥った仲間の為に手柄を立てようとし逆に大きな失敗をしてしまう彼ら。


自分の家族の為に隣人を殺害するのか?
それは大きな迷い。
自分たちの為に何の罪も無い人々を巻き込んで良いのか?
もはや、彼らは目的や手段の為に冷徹になりきれなくなってしまったのだろう。
それは、工作員としては欠陥品だ。
しかし、人間としては、とても尊い選択。
家族に対する想いが彼らを真人間に戻したのだろう。

死ぬ間際に隣人同様に罵り合う四人。
それは最初は蔑んでいたはずだった隣人たちの会話。
しかし今では羨ましい。
せめて自分も自分自身の家族と、このような会話をしたかった。
このシーンがとても切ない。

四人の上司も結局は情に流された。
そして、三人の自決を見届けた工作員も、娘だけは見逃した。
どんなに冷酷に振舞っていても人は人なのだろう。


最初は物語の設定に魅かれる、コメディ調で笑える映画でもあった。
けれど、家族の喧嘩にすら憧れる工作員の哀れさが心に重く圧し掛かる映画。



後は余談だが、
国境越しではお互いを敵視しあう人々も、
面と向かえば、相手にも愛情が芽生えてくる。
それが、もしかしたら平和への最初の一歩なのかもしれない。
そんなテーマもあったのかもしれない。
それはちょっと深読みか?
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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