哀しき獣  
2015.04.23.Thu / 12:09 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






自分が雇われた理由が、
不倫の為だと知った時。
憎んでいた妻が、
実は中国に帰ろうとしていたことを知った時。
男は激しく後悔したのだろう。
なぜ、ここに来てしまったのか。
なぜ、こんな仕事を請け負ってしまったのか。

社会的弱者故に切り捨てられた。
そんな宿命を受け入れつつも、
自分の意地を最後まで通した男。

死ぬと分っていたのだろう。
それでも故郷を妻と目指した男。
そんな男の哀れさが心に染みる映画。




多額の借金をして返す当ても無い。
妻には逃げられてしまった、と思い込んでいる。
粗暴だが馬鹿ではない。
それ故に未来が絶望的なことがわかり、そこから目を背け、
賭けマージャンとお酒に溺れる日々を過ごす男、グナム。
起死回生の儲け話。それは韓国に行き人を殺せば借金は帳消し。
同時に消えた妻を捜すことも出来る。
他に選択肢などない。
けれど、それが地獄への片道切符などとは、
グナムには思いも寄らなかったのだろう。

入念に殺人のシュミレーションを実施するグナム。
この辺りの、緊迫感が半端ない。
しかし、別なグループの乱入で思わぬ窮地に立たされる。


グナムに仕事を依頼した男、ミョン。
組織のボスのはずなのに、最前線に立つ男。
海に飛び込んだグナムを追う様に部下に指示した時、
部下が陸を走って追いかけていく姿を見て、
「おいおい。そっちじゃないだろう。」
といって海に飛びこむ。
とても笑えて、彼の性格を端的に表している台詞だ。


別な経由でグナムの標的を殺そうとした男、キム・テウォン。
大物のように見えて、とても小心な男。

繰り広げられるアクションシーンは、
なぜか拳銃が使われず、斧で相手の頭を、かち割るシーンばかり。
とても痛そうで残酷、けれど、
この映画にとてもあっているとも感じてしまう。



テウォンが殺しを依頼したのは、愛人を寝取られたから。
グナムが殺しを依頼されたのは、不倫を成就させるため。
いずれも人を殺さなくても解決しそうな問題ではあるが、
きっと、殺したほうが手っ取り早いと当人たちは考えたのだろう。
それは自分が実行するわけではないから。
グナムのような社会的弱者に依頼して、切り捨ててしまえばいいのだから。

妻も死んでしまった。
自分も助からないだろう。
けれど、最後まで意地を通す。
なぜ、自分はこんな目にあわなければ成らなかったのか。
それを知らずして死ねない。
けれど、知ってしまっても、こんなことで死ぬのは虚しすぎる。

妻の遺骨を抱いて故郷に帰ろうとしたグナム。
きっと死を覚悟はしていたのだろう。
生きる希望も砕けてしまったのかもしれない。
何が悪かったのか。それは、貧困、血筋、生まれた場所。それら総て。
死に逝くグラム。その姿はとても哀れ。

しかし、、、
妻は死んではいなかった。グナムの元に戻ってきていたのだ。
死にさえしなければ、もしかしたら、再び出会えてたかもしれない。
グナムが信じていれば、あのような仕事を請け負わなければ、、、


グナムの哀れさが心に染みる映画。



* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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