フォックスキャッチャー  
2015.05.14.Thu / 23:10 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






誰かに認められたい。
特に、あの人に。
切望して、もがいても、
それには、なかなか届かない。

弟と富豪は、本当は似た者同士だったのだろう。
だから上手く行っていた時間もあった。
けれど少しでも歯車が狂えば上手くは行かない。

兄と富豪は、まったく違う。
だからお互いの本質を理解できはしない。
適当に付き合えることは出来ても、
富豪が思い描いた関係には決してなれない。

いったい、なぜ、この悲劇は起こってしまったのか?
他人を理解できないから。
それは似た者同士であっても、本質がまったく違うもの同士でも。

二人の兄弟に向ける富豪の愛憎。その緊迫感。
人の不思議さに魅入られる映画。




生まれながらにして多くのものを持つ男、ジョン・デュポン。
アメリカにおいても屈指の大富豪。
母親に認められたい。
しかし、母親は息子を決して認めない。

馬を愛し、レスリングは毛嫌いしている母親。
そんな趣向の差もあっただろう。

デュボンの成功の殆どは、自らが遺した財産故の成功。
それを見抜いていたからでもあろう。

デュポンにとっても、殆どの事は、
努力をしなくても、成功は確約されている。だからだろうか。
それが彼にとっての負い目になっているのかもしれない。



偉大な兄を持ち、しかし、自らも金メダルを手にした男、マーク・シュルツ。
本来であれば十分に尊敬の対象に値する男。
しかし、注目されるのは、いつも兄。
金メダリストとしては、
生活環境も恵まれているとは決して言えない。


実は似た者同士であったマークとデュポン。
誰かに、特に兄や母親に認めてもらいたい。
友達と呼べる存在も居ない。
だから、ある時間だけは、二人の関係は良好であった。
しかし、薬を手にしアルコールに溺れていくマーク。
映画の冒頭では、典型的なレスラー体型であったマーク。
しかし、次第に体に丸みを帯びてきたようにも見えた。
成功という油断に、精神的に幼かったマークがはまり込んでしまった、
ということなのだろう。


兄が居なくても自分は勝つことが出来る。
それを証明することが出来たマーク。
しかし、デュポンには、その油断が許せなかったのであろうし、
勝手に練習メニューを決めたマークの増長が気に入らなかったのかもしれない。
しかし、兄を呼ぶことが、弟との関係を壊してしまうことにつながるとは、
デュポンには、予想できなかったのだろう。



家族を持ち弟の面倒も見る、とても大人な男、デイヴ・シュルツ。
大人であるが故に、デュポンとの関係は、とても形式的なもの。
デュポンが何を望み、何を欲しているのか。
それを察して彼に与え、見返りとして家族の幸せの為の金を得る。
マークとデュポンの関係とはまったく異質な関係だ。
けれど、デュポンには、それが何故なのか分らなかったのだろう。
デイヴをパーティーに誘い休日は家族サービスの日だと断られる。
マークとのような関係を築くことは出来ないことに苛立つ。


いくらカッコがよい記録映画を撮っても実が伴わなければ、虚しいだけだ。
何をすれば自分は満足できるのか?
次第に追い詰められていく、デュポン。


いったい、なぜ、この悲劇は起こってしまったのか?
資金があれば何でもできる、と勘違いしていたからなのか。
他人の心を理解できなかったからなのか。
自分に欠けている物に思いが至らなかった為なのか。
富豪ゆえに、周りが自分を盲目にしてしまったからなのか。

人の不思議さに魅入られる映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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