博士と彼女のセオリー  
2015.05.28.Thu / 23:49 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人には出来る事と出来ない事がある。
身体能力の限界。
時間の制約。

同じ時間を過ごし、
惜しみない努力をして、
三人の子供たちを育て上げた。
上手く行かなかったこともあっただろう。
そして、結果が総てではない。
けれど、最後に迎えることができた幸せなシーン。
それが美しいと感じられるのは、
二人がお互いを労わり、尊敬し、
誠実に向き合った結果だと分っているからであろう。

ホーキンス博士が成し遂げた偉業。
それに匹敵するほど価値のある、幸せな風景。
二人が共に過ごした時間の濃密さが美しく感じられる映画。




大学で知り合い恋に落ちたスティーブンとジェーン。
しかし、ALSを発症し、余命2年と宣言されてしまうスティーブン。
これは負けが決まった、耐え難い、絶望的な戦いだ。
誰もが、そう感じるだろうし、
ジェーンが、たとえ身を引いても、非難されることはないだろう。
けれど、共に人生を歩むことを決めた二人。
そして始まる、負けが決まったであろう戦い。


余命二年だからであろうか。
ちょっと無計画に子供を作りすぎるようにも感じられたが、
二人の子持ちとなり、誰かの助けが必要になってしまったジェーン。
スティーブンほどの聡明な人間ならば、それは分りそうなもののように思える。
けれど、最初は手助けが必要なことを否定するスティーブン。
多分、他の誰かに、自分の家庭に入って欲しくはなかったのだろう。
そして、その危惧は現実のものになったのだろう。


声を失うのか、それとも命なのか?
長い闘病生活の果てならば、
このまま逝かせてあげるという選択肢もありかもしれない。
けれど、命を即断したジェーン。
どんな姿でも生き続けて欲しいと願ったから。
スティーブンのことを愛しているから。
なによりも、彼が生きたいと望んでいるから。
そして、ジョナサンとの別れをも決意する。


アメリカに行くことになったスティーブン。
多分、ジェーンの心境の変化も理解してのことなのだろう。
以前、三人目の赤ちゃんが産まれた時、
世間の好奇の目に家族がされされるのを避けるために、
ジョナサンは家族の元から離れてしまった。
本来ならば、ジョナサンが離れていくのは、
もっともなことだと諦めるに違いない。
しかし、わざわざ、教会まで出向いていったスティーブン。
家族の為にジョナサンが必要だから、だけでは無いはずだ。
ジェーンの為にジョナサンが必要だから、と理解していたからだろう。

あれから何年たった。
最初は二年だと思っていた。
そして、過去形で語られた、愛していた。
それは、とても美しい別れ。


人には出来る事と出来ない事がある。
公演の最中に目の前で女性がボールペンを落とした。
けれど、それを拾うことは、今のスティーブンには出来ない。
しかし、彼でなければ出来ないことを、彼は精一杯成し遂げた。
研究成果だけではない。
ジェーンと共に時を過ごし、家族を愛し、育て、
お互いを敬い、相手のことを尊重し、大切に考えた。
そして迎えることが出来た結末。

二人が共に過ごした時間の濃密さが美しく感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1273 / タイトル は行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!

あ、ボールペンのシーンで思い出したけど、あれは
「博士は神の存在を信じますか?」と質問された時の脳内映像でしたよね。
まるで『神が存在するならボールペンを拾えるはず』と言いたげに見えました。
(博士は無神論者なので)
でもそれはポジティヴ思考の博士とは違うなあと思って打ち消しましたが。
ヤンさんが書いているように、
人には出来る事と出来ない事があるという事と取ったほうがいいようですね。

どういう形であれ、2人が互いに相手を尊重して大切に思った事が
伝わってきたので、美しい関係に感じられましたね~

2015.10.13.Tue / 16:57 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from  -

YANさん、こんばんわ。

あのシーンでは、
神様や他の人ならできるけど、自分はそうではない、
てなことをホーキンス先生は感じたかのように見えました。
人それぞれに出来る事と出来ない事があって、
自身にとっての出来ることをやり切ったからこそ、
そんなことも受け入れられる心境になったんじゃないかと、
思えました。
やり切った人の人生は、確かに美しいですね。


相変わらずの遅レスですいません。

それじゃ、また。

2015.10.17.Sat / 19:36 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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