2015.06.04.Thu / 21:51 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






山の事をなにも知らなかった青年が、
一端の山男に成長していく。
それは仕事を習得するといことよりも、
精神的に山の生活を受け入れ、
好きになった、ということ。


表面的に山の生活をなぞるのは、
誰にでも、なんとかできるだろう。
しかし、その精神を理解できなければ、
山はその人を受け入れてはくれない。

山の生活が良くて都会の生活がダメ、
ということではない。
それぞれに良い点、悪い点はあるはずだ。
しかし、山の生活を受け入れ、なじみ、
最後には、山の生活を選択した青年。

その選択が納得出来るほどに魅力的に写った山の生活。
その魅力さが心地よく感じられる映画。


ストーリーは基本的には予定調和的。
主人公を演じた染谷さんのヘタレぶり、しかし、
自然と山の生活を受け入れていく様がとても自然に感じられる。
染谷さんの先輩を演じた伊藤さんの山男ぶり。
豪放快活、しかし、女クセの悪さ。
ワンカットでトラックの荷台に飛び乗る様や
チェーンソーで木を切るときの腰の入り方が、
とてもカッコよく感じられた。
大学受験に失敗した青年、平野勇気。
一年の浪人生活もカッタるい。
パンフレットに写った美女に魅かれ、選んだ林業の世界。
しかし、その世界は、勇気が思うような安易な世界ではなかった。

怪我をして血が出れば貧血になってしまう。
およそ、山の生活には馴染めそうに無い。
しかし、逃げ出そうとする度に、偶然が重なり研修を続けていく勇気。

最初は地蔵さんには祈らなかった。
なぜなら、それが何であるか知らなかったから。
形だけ真似ることも出来たかもしれない。
しかし、そこまで気が回るほど器用ではないし、
「意味が分らないことはやらねーよ、普通」と考えていたようにも思える。
しかし、最後には地蔵さんに、おにぎりのお供えをして、
それが思わぬ形で勇気に還って来る。
なにも、ご利益を期待して、おにぎりのお供えをしたわけではない。
自然と山の生活を受け入れ始めて、自然の成り行きでお供えをした、
といったところだろうか。


元彼女の所属するスローライフのサークル。
山の生活をバカにするかのような発言。
彼らはスローライフを形ばかり追って、
その裏に存在する精神的なことを無視している。
勇気は、なにも論理的にそこまで見抜いたわけではない。
けれど、彼らの発言から自然と感じ取ったのだろう。
だから、勇気は彼らの言動に切れてしまったのだろう。


今切ることができる木は、自分たちのお爺さんの世代が植えた木。
今植えた木を伐採するのは孫の世代。
孫の世代の為に、今から世話して、次の世代に受け渡す。
林業には、そんな壮大な世代間の流れがある。
だからだろうか、山の男たちは、皆スケールが大きく、豪放快活だ。
しかし、守らなければならないこともわきまえている。
安全の為の注意事項だけではない。
山で生活するということ、山を敬うということ。
そんなことも尊重している。

48年ぶりの大祭によそ者である勇気を参加させるべきか?
どちらでも良かった勇気は、参加を辞退する。
でも、問題は、そんなに簡単ではない。
簡単には仲間とは認めてもらえない排他性。
しきたり、風習、習慣。たたりへの恐れ。
しかし、この時の勇気は、心だけは立派な山男。
それは、先輩である飯田が勇気を少しずつだが認め始めたということ。


それまでは研修の終わりの日を指折り数えていた勇気。
しかし、途中から、どうでも良くなっていった。

都会に帰って来た勇気。
しかし、都会の人ごみ、喧騒には成れない。
そして感じる、懐かしい匂い。

山の生活を受け入れ、なじみ、
最後には、山の生活を選択した勇気。
その選択が納得出来るほどに魅力的に写った山の生活。
その魅力さが心地よく感じられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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