清須会議  
2015.07.09.Thu / 15:42 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






清須会議。
それは信長の後継者を決めるというよりは、
次世代の覇者を争う合戦。

最初は圧倒的に優勢な体制であった柴田勝家。
しかし、それを狡猾に切り崩してゆく羽柴秀吉。

合戦であれば、負ければ滅亡。
そして、世の中に絶対という言葉は存在しない。
勝ったと思った瞬間が負けの始まりなのかもしれない。

主君を愛した二人の武将。
けれど、その忠義の形はまったく違う。
亡くなった信長の遺志を自分の手で実現したかった秀吉。
信長の遺児や織田家を守ろうとした勝家。
果たして、どちらが信長の遺志なのか。

後継者争いに勝った秀吉。
愛する者を得ることが出来た勝家。
人として、果たしてどちらが勝者なのか?

勝者には成れないが生き残る者を見極めることは出来る。
それはきっといい訳だ。
自分の選択は人として決して褒められるものではない。
それが分っているからこその台詞なのだ。

狡猾で抜け目のない男が生き残り、
単純だが実直で誠実な男が滅び去る、人の世の中。
暗くてシニカルな笑い声が聞こえてきそうな映画。
明智光秀の謀反により謀殺された信長。
その後継者を選ぶ為に開かれた清須会議。
しかし、それは会議というよりは戦さ。

最初は圧倒的に優勢であった柴田勝家。
武勇には秀でてはいるが、駆け引きや策略は苦手な男。

信長の仇を取り、勝家に対抗する羽柴秀吉。
したたかで、人の心を取り込むのが上手な男。


戦さであれば負ければ滅亡。
だからこそ、あらゆる手を尽くさなければ生き残れない。
知恵を振り絞り、様々な手を打つ秀吉。
知略は盟友であった丹羽に任せっきりで、しかも丹羽の提案を無視する勝家。
結果を知っているからだけではなく、
これでは、勝者は秀吉であろうと途中から分ってしまう。
だからストーリーからは政治的な駆け引きもあまり感じない。

丹羽の提案を受け入れず、お市の方に入れあげた勝家。
勝家は、お市の方にぞっこんであっただけではなく、
優勢な状況から、
勝ちが決まる前から勝つことを確信してしまっていたのだろう。
この世界に、特に戦さに絶対という言葉は存在しないはずなのに。
その結果、盟友であったはずの丹羽からも見限られてしまう。


会議が終わり、勝者も決まった。
静かに語らう、秀吉と勝家。
二人は真に信長を好いていた。
しかし、その為の行動はまったく違っている。
秀吉は信長のやりたかった事を変わりにやろうと誓ったのだろう。
主君の無念を晴らし、一緒に見た夢を実現する為に。
信長に強い恩義を感じていた勝家は、織田家を守り、
遺児たちを守ろうと誓ったのだろう。
信長ならばきっと秀吉の行為を好んだかもしれないが、
それは誰にも分らない。


勝者には成れないが生き残る者を見極めることは出来る。
そう言って自らを納得させた丹羽と池田恒興。
だが、彼らも判っているのだろう。
長年、共に戦ってきた盟友であった者を、生き残る為とはいえ裏切った。
それは、人として決して褒められることではない。
だから、その台詞は自らを納得させるための言い訳なのだ。



三谷監督の映画はコメディといえども、
心から笑える映画には出会っていない。
三谷監督は、人の持つ腹黒さ、身勝手さ、二面性などを、
面白おかしく描いてはいる。
しかし、人の身勝手さによって犠牲になる人もいる。
だから、心からは笑えない。
この映画も、コメディ部分は少ないとはいえ、
同じ傾向にあるように感じられる。

秀吉が嫌いだから勝家に嫁ぐことを決めた、お市の方。
けれど、勝家の純情さを好んだようにも見える。
思い込みは強かったが、それでも一途。
サザエを手に取る、お市の方。
最後には、勝家の純情が、お市の方に届いた結果なのだろう。

後継者争いに勝った秀吉。
愛する者を得ることが出来た勝家。
人として、果たしてどちらが勝者なのか?
しかし、狡猾で抜け目のない男が生き残り、
単純だが実直で誠実な男が滅び去る、人の世の中。
暗くてシニカルな笑い声が聞こえてきそうな映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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