遥かな町へ  
2015.07.30.Thu / 00:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人生に行き詰っていた男。
なぜ父親は自分たちを見捨てたのか、
その答えが分らないから。

偶然に戻った故郷で、
過去に戻ってしまった。
そこで知った、父親の真実。
そして感じた、家族というものの有り難さ。

過去に決着をつけた男が見た現代の家族は光り輝いて見えた。
父親を止める事はできなかったが、
許すことは出来たからであろう。
そして、
今の自分の人生の選択の価値を取り戻したからでもあろう。

選択により捨ててきた人生の意味。
選んできた人生の価値。
人生の重みが心に残る映画。




漫画家として、ある程度の成功を収めたように見える、トマ。
しかし、新作を描けないでいる男。
パリに帰るはずだった帰路で間違ってたどり着いた故郷。
トマにとっては、いままで避けてきた場所のように思える。
それは過去の痛み故に。
自分たち家族を見捨てて逃げてしまった父親。
心労故に若くして死んでしまった母親。
その総てが許せない、だから知りたい。
なぜ父親は自分たちを見捨てたのか。
父親は自分たちを愛していなかったのか。

過去に戻って分ってきたこと、実感できたこと。
それは家族の有難さ。
何気ない普通の夕食風景がとても貴重で幸せなものに感じられる。
妹を可愛がり母親に優しく接し、父親と話をする。
昔では、当たり前すぎて、やらなかったこと。
照れもあっただろうし、面倒でもあった。
だけど、今なら素直にできる。

そして、今居る世界は自分が生きてきたのとは別な世界。
なぜなら父親が誕生日を過ぎた今日も家に居るから。
それは同時に、現代における自分の家族が、
この世界の未来には、きっと居ないことをも意味する。
それが、とても寂しく感じられる。

父親は、なぜ自分たちを捨てたのか?
不本意な選択で選んでしまった人生。
きっと他に自分らしい自分の人生が存在するはずなのだ。
死んでしまった友人が残した台詞。
そして、人生をやり直すにはギリギリの年齢。
父親は別な人生に逃避してしまったのだ。
それを止めることが出来なかったトマ。
「年を取ったら、お前も分る。」
そして、その時のトマには理解できたことなのだから。


現代に戻ることが出来たトマ。
別な人生を選んだ父親の気持ちが理解できる。
だから許すことも出来る。
けどれ、不本意な選択といえども、
父親が選んだ人生には価値があった。
優しかった母親、可愛かった妹。すべてが愛おしく感じられた。
果たして父親は、今は幸せな人生を悔いなく送っているのだろうか?

家族の下に戻ることが出来たトマ。
それまでとは違って見える家族の風景。
それは自分が選択して選んだ結果の人生。

不本意であった選択、他から強いられた選択。
しかし、それらには自分の考えや思考から選び出した選択でもある。
その時に逃げ出さなかったのは、自分の意志でもあるのだから。

選択により捨ててきた人生の意味。
選んできた人生の価値。
人生の重みが心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1282 / タイトル は行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.