2015.11.05.Thu / 20:20
「ネタバレ」あり。ご注意願います。
時が流れれば
すべては
幸せな思い出
高台に立てられた、赤い屋根のモダンなおうち。
その中で営まれる人々の穏やかで幸せな暮らし。
その穏やかさと幸福を心から愛した女性。
けれど、平和な時代は長くは続かない。
幸福な営みは、儚くも脆い。
それでも懸命に幸せな時を守ろうとした。
私利私欲などは微塵もない。
大好きだった人々の幸せを見守っていたい。
ただ、それだけ。
そんな女性の真心に心打たれる映画。
高台にある、赤い三角屋根の小さなおうち。
そこに女中として働き始めたタキちゃん。
純情で純粋。
常に小さなおうちで暮らす人々の幸せを願っている女性。
小さなおうちで暮らす平井一家。
穏やかで幸せな生活。
しかし、世の常なのか。幸せは長くは続かない。
おうちの外で吹きすさぶ戦争という嵐。
そして、板倉正治という男の影。
しかし、幸せに暮らしている間は誰も気付かない。
幸せの脆さ、儚さ。そして、それを壊すものの存在を。
年を取ったタキちゃんが自叙伝を書き、
しかし、姉の孫である健史に指摘される。
当時の情勢はもっと暗くて、こんなに平和ではなかったと。
後の時代の人間からすれば、それは自明のこと。
けれど当時を生きる人たちは簡単には気付かない。
日本が戦争という闇を目指して突っ走っていることや、
不倫がどんな結末をもたらすのか、
渦中の人では簡単には気付くことができない。
板倉さんの出征が決まり、これが最後の機会になるかもしれない。
しかし、手紙を渡さなかったタキちゃん。
映画全体から考えれば、それは平井家を守る為。
それど、散りばめられた様々なシーンからは、別な理由も思いつく。
一つにはタキちゃんも板倉さんが好きだったから。
もう一つには、タキちゃんが同性愛的に奥さんを好きだったから。
だから、二人の邪魔をしたんだという推測も成り立つ。
そして、この映画では明確にされてはおらず、
観客に委ねられているようにも感じた。
この映画には様々な魅力が詰まっている。
松たか子さん演じる時子さんの天真爛漫さと艶やかさ。
小さいおうちで営まれる当時の生活の暖かさ。
そして、タキちゃんの純粋さ。
恭一お坊ちゃまが、小児麻痺で毎日マッサージをしなければならない。
その時に見せたタキちゃんの覚悟。
お坊ちゃまは自分がきっと治してみせる。
そこには私利私欲などは存在しない。
愛する人たちの幸せな顔を見続けたい。
ただ、その思いが存在するだけ。
それは、もう、今の日本には存在しないかもしれない、
日本人の持っていた美徳のようにも感じた。
タキちゃんが手紙を渡さなかったのには、
さまざまな理由が推測できるだろうが、
映画全体から考えれば、
平井家を守る為という思いが一番大きかったように思えるし、
それが、この映画には似つかわしいとも感じる。
家族の幸せを守る為とはいえ、
二人の最後の機会を永遠に奪ってしまったタキちゃん。
果たして、それは本当に幸せを守ることに繋がったのか?
逆に奥様の幸せを奪ってしまったのではないのか。
けれど、過ぎてしまえば、総ては遠い昔の話。
すべては、とっくに時効なのだろう。
懸命に幸せな時を守ろうとしたタキちゃん。
愛した人々の幸せを見守っていたい。
ただ、そんな思いが存在しただけ。
そんな女性の真心に心打たれる映画。
穏やかで幸せな生活。
しかし、世の常なのか。幸せは長くは続かない。
おうちの外で吹きすさぶ戦争という嵐。
そして、板倉正治という男の影。
しかし、幸せに暮らしている間は誰も気付かない。
幸せの脆さ、儚さ。そして、それを壊すものの存在を。
年を取ったタキちゃんが自叙伝を書き、
しかし、姉の孫である健史に指摘される。
当時の情勢はもっと暗くて、こんなに平和ではなかったと。
後の時代の人間からすれば、それは自明のこと。
けれど当時を生きる人たちは簡単には気付かない。
日本が戦争という闇を目指して突っ走っていることや、
不倫がどんな結末をもたらすのか、
渦中の人では簡単には気付くことができない。
板倉さんの出征が決まり、これが最後の機会になるかもしれない。
しかし、手紙を渡さなかったタキちゃん。
映画全体から考えれば、それは平井家を守る為。
それど、散りばめられた様々なシーンからは、別な理由も思いつく。
一つにはタキちゃんも板倉さんが好きだったから。
もう一つには、タキちゃんが同性愛的に奥さんを好きだったから。
だから、二人の邪魔をしたんだという推測も成り立つ。
そして、この映画では明確にされてはおらず、
観客に委ねられているようにも感じた。
この映画には様々な魅力が詰まっている。
松たか子さん演じる時子さんの天真爛漫さと艶やかさ。
小さいおうちで営まれる当時の生活の暖かさ。
そして、タキちゃんの純粋さ。
恭一お坊ちゃまが、小児麻痺で毎日マッサージをしなければならない。
その時に見せたタキちゃんの覚悟。
お坊ちゃまは自分がきっと治してみせる。
そこには私利私欲などは存在しない。
愛する人たちの幸せな顔を見続けたい。
ただ、その思いが存在するだけ。
それは、もう、今の日本には存在しないかもしれない、
日本人の持っていた美徳のようにも感じた。
タキちゃんが手紙を渡さなかったのには、
さまざまな理由が推測できるだろうが、
映画全体から考えれば、
平井家を守る為という思いが一番大きかったように思えるし、
それが、この映画には似つかわしいとも感じる。
家族の幸せを守る為とはいえ、
二人の最後の機会を永遠に奪ってしまったタキちゃん。
果たして、それは本当に幸せを守ることに繋がったのか?
逆に奥様の幸せを奪ってしまったのではないのか。
けれど、過ぎてしまえば、総ては遠い昔の話。
すべては、とっくに時効なのだろう。
懸命に幸せな時を守ろうとしたタキちゃん。
愛した人々の幸せを見守っていたい。
ただ、そんな思いが存在しただけ。
そんな女性の真心に心打たれる映画。