遠くでずっとそばにいる  
2015.11.19.Thu / 20:30 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。







10年分の記憶を失った女性。

果たして自分は一体どの様な女性であったのか?
何が確かなことで、何が不確かなことなのか?
そして、自分は、
とても嫌な奴だったのではないのだろうか?

10年分の記憶を取り戻したいような、
けれど、本音では取り戻したくはないのだろう。
それは、嫌な自分を知りたくはないから。

確かに自分がどのように生きてきたのか、
自分自身を知れば未来に繋がっていく。
けれど、肝心なのは今の自分。

記憶は取り戻せなかった。
けれど、自分が何を失ったのかは理解できた。
そして生きる道しるべを得たのだろう。
今の自分の感性で。

自分探しをした女性。
最後には客観的に自分自身を知る。
そして周りの人々の優しさも。
それらを生きる力に変えていく。

自殺願望だった女性が生きる力を取り戻すまでを描いた映画。
その成長に清々しさを感じさせてくれた映画。




事故により、10年分の記憶を失った、朔美。
陽気で楽天的、とても快活に見える、女性。
だからなのだろうか。
記憶を無くしても、とても楽観的に見える。
それ以上に過去の自分から開放された自由すら感じているように見える。
朔美の記憶を取り戻す手伝いをしてくれる人々。
恋人である細見。
友人である薫。
けれど、二人はなんだか、とても、よそよそしい。
そして、様々な事実を朔美には告げない。


事故が起きたにしては見晴らしの良い歩道橋。
飲めないはずなのに飲んでしまった白ワイン。
一年間に二度の交通事故。
記憶を取り戻した時、果たして何が分かるのか?
本当は記憶なんか取り戻さないほうが良いのだろうか?
自分はとても嫌な奴だったのではないのか?
それを知りたくはない、と朔美は考えているのだろう。
だから、朔美自身も積極的にはならないように見える。


しかし、徐々に明らかにされていく事実。
実は、薫と細身は監視係り。
たしかに細身と薫には、朔美に対する、
愛情と少しばかりの友情が、まだ、あったのかもしれない。
けれど、一番の理由は、朔美が、何を失ったかを知った時、
また自殺をしないかと心配した母親に依頼されたからなのだろう。


記憶が戻ったわけではない。
けれど、何を失ったかを理解できた朔美。
悲しみで途方にくれるものの、
それを癒してくれたのは義理の妹の美加。
自分は嫌な奴だったのかもしれない。
けれど美加に示した優しさが自分を救ってくれる。
嫌な面ばかりの女性、というわけでもなかったのだ。

喧嘩ばかりして、他の男が好きだった。けれど、
キャンプに一人付き合ってくれた細身。
愛想を尽かされたかようでいて、細身が、まだ付き合ってくれたのは、
優しさの表れなのだろう。


朔美と薫の、お互いを許さない関係。
お互いを知れば、そんな関係でも上手くいくのだろう。


最愛の人は居なくなってしまった。
けれど、周りには大勢の人が、まだ居る。
そして、最愛の人は居なくなったのではない。
遠くで、ずっとそばにいてくれる。


自殺願望だった女性が生きる力を取り戻すまでを描いた映画。
その成長に清々しさを感じさせてくれた映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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