先生と迷い猫  
2015.11.19.Thu / 20:33 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




思い出したくはない
けれど
忘れたくはない


行方の分らなくなってしまったネコ。
そのネコを探し求める街の人々。
しかし、彼らが捜し求めていたのは、
ネコだけではない。

自分の大切な時間。
助けてもらった自分の命に対する感謝。
野良として生きなければならない猫の境遇と行く末。
そして、妻との別れ方。

ネコと共に妻との別れ方を見つけた男。
そのいじらしさに、可笑しくもホロリとさせられた映画。



定年で引退、妻にも先立たれてしまった校長先生。
写真を撮って欲しいというのは、ある意味で社交辞令。
ロシアの小説を約してみれば、というのも社交辞令。
けれど、それらを、まともに扱ってしまう、
頭でっかちで融通が利かない初老の男。
そんな校長先生の所に通ってくる、
生前、妻が大切にしていたネコ。
しかし、それを追い返してしまう校長先生。


今まで怒られたことがなかった校長。
なぜなら自分は校長先生で、
叱ってくれる人も居なければ、
叱られるような事もできなかったから。

けれど、ネコを捜す為に、
様々な人と交流し、ハメを外せば人から怒られる。そして、
自分の事を知る。
他人が自分を、どう見ていたかも分ってくる。

ネコはきっと自分たちを映し出す鏡。
そんな鏡を覗き込み、鏡に写された自分を見て、
自分の事を知る。
他人が自分を、どう見ていたかも分ってくる。

「愛感同一」これは駄洒落だったのに伝わらなかった。
なぜなら自分は駄洒落を言う人間には見えていなかったから。



なぜネコを追い返してしまったのか?
それは妻を思い出すから。
妻と上手に別れては居なかったから。
ネコの声がする度に庭にいるはずの妻に語りかける校長先生。
頭では分っている。けれど心が追いついていないのだ。

人付き合いの下手な校長先生にとって、
定年後の生活は寂しいのだろう。
仕事があるといっても頼まれたものではない。
しかし、媚びているわけでもないのに、
どこに行っても可愛がられるネコ。
校長先生はネコに嫉妬も感じていたのだろう。


最後に、ネコは戻ってきたのか、それとも、戻っては来ないのか。
それは映画では語られない。
多分、戻っては来ないのだろう。

妻を失って初めて、その大きさが分った校長先生。
そして、同じ失敗をして、キチンとした別れがネコとも出来なかった。
けれど、ネコを探すという行為で、
死んでいった妻とネコに別れを上手に言えたのではないか、
そう願いたい。

ネコと共に妻との別れ方を見つけた男。
そのいじらしさに、可笑しくもホロリとさせられた映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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