僕の村は戦場だった  
2015.12.17.Thu / 23:10 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






戦争における、
残酷なシーンがあるわけではない。
悲惨なシーンがあるわけでもない。

しかし、戦争の悲惨さ、残酷さが十二分に伝わってくる。

戦争によって総てを奪われた少年。
母親と妹、少年らしさ、未来、そして、彼の命。

戦争というものを冷徹に見つめる眼。
戦争に対する静かな怒りを湛えた映画。


タルコフスキーの長篇第一作。
けれど彼独特の映像美は、この頃から見ることが出来る。
そんな映像美も堪能できる映画。



戦争で家族を失ったイワン。
幼くしてロシア軍の斥候に志願した少年。
暗く冷たい川もひるまずに渡りきる。
戦争は大人がやるものだと諭されても戦争に志願し続ける。
その動機は殺された家族の復讐の為であろうが、
それだけではない。

自分は役立たずではない。
そう思われたくはない。
純粋故に、そんな使命感に囚われてしまうイワン。

家族を殺し本を焼くドイツ人は野蛮な民族だ。
敵は自分と同じ人間とは思えない。
野蛮人は抹殺すべきなのだ。
けれど、それは無知ゆえの誤理解。

そんな思いに捕らわれて自ら戦争に志願する若者は、
多分、他にも大勢居るのだろう。
そして、それが、戦争の悲劇なのだろう。



自分の家を焼かれたのに、それが理解できない老人。
いつまでも野ざらしにされている味方の兵士の死体。
これも戦争の悲惨な一面なのだろう。


ロシア軍が勝利してドイツの首都に進行する。
しかし、悲劇はそこにもある。
大人の自殺に巻き添えになった子供たち。
彼らも被害者なのだ。
悲劇は、敵と味方の両方に平等に起こりえる。
イワン少年だけが特別なわけではない。
ドイツにもイワン少年は存在するのだ。


幸福だった戦争前のイワン少年。
その輝かしい笑顔。
しかし、最後に知らされるイワン少年の末路。
母親と妹を奪われ、
少年らしさも奪われ、
未来、そして、命すらも奪われた。
ドイツにではなく、戦争によって。

そんな戦争の悲惨さと悲劇をカメラはあくまで、
情に流されることなく冷徹に取り続ける。
だからこそ、静かな怒りが十二分に伝わってくる。

戦争に対する静かな怒りに圧倒される映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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