夏の終り  
2015.12.24.Thu / 22:25 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






男の我侭。女の我侭。

束縛されない。責任も無い。
そんな居心地の良い関係を続けたかった男。

その時の自分の本心に従い、
欲しかった物に真っ直ぐ進んだ女。

しかし世界は二人だけが存在しているわけではない。
男の妻。女の昔の彼。
そんな人々が女に気付かせる。
このままではいけない。
このままでは未来はない、と。

不倫という隙間に落ち込んでいた女性。その葛藤の重苦しさ。
そんな女性が自分らしい生き方を求めて、新しい出発を果たす。その晴れやかさ。
重苦しさと晴れやかさの対比が印象的な映画。


少ない状況説明。
しかし彼らの心情が十二分に伝わってくる。
そんな、とても映画らしい映画。



藍染めを生業としている女性、和子。
売れない小説家、真吾。
不倫関係にある二人。
夫と幼い娘を捨て愛する人の下へ走った。
けれど、それも上手く行かず、今は別な男と半同棲。
その時、その時で自分の欲するままに選択をしたはずだった。
しかし、満たされない今。
真吾に不満があると、昔の恋人である涼太にすがる。
今に不安を感じると、涼太に助けを求める。
けれど、涼太だけでは満たされない。

自分が欲するものを選択してきたつもりだった。
けれど、本当は違っていたのだろう。
自分でも欲しいものがわかっていなかったのだろう。


映画の冒頭では包容力がある大人の男性に見えた真吾。
和子に昔の恋人が尋ねてきても余裕で、それを受け入れる。
けれど、徐々に分ってくる真吾の正体。

不倫関係にあるといえども、
金持ちが財力で女を囲っているわけではない。
真吾の妻も和子も経済的には自立している。
さらに真吾の妻は精神的にも夫から独立しているのだろう。
むしろ、自立できていないのは真吾のほうなのだ。
自分は売れない小説家。
けれど和子は自分を才能ある作家として扱ってくれている。
本当は和子も真吾が才能がないことに薄々感づいている。
だから、今を壊したくはない。
だから、受け入れざるを得ないのだろう。


しかし、今を壊そうとする存在がある。
涼太は和子に復縁を求める。
真吾の妻は手紙と電話でプレッシャーを掛けてくる。
文句を言われたわけではない。しかし、向こうは正妻、こちらは愛人。
どっしりと構えられれば、立場の違いを痛感せざるをえない。

真吾が本当は書きたくはない小説を書こうとしたのも、
しばらく此処を離れれば元に戻るかもしれない、と思ったのだろう。
けれど、もう元には戻れない。


最初は相手に対して、お互いに何かを求めていたのかもしれない。
しかし、8年間の後半は惰性と習慣で過ごしてきたのだろう。
それを壊すのは、とても怖い。
けれど、夫と幼い娘、総てを捨てて手に入れたかったものは、
こんなものではなかったはずなのだ。


最後には再出発を決めた和子。


不倫という隙間に落ち込んでいた女性。
その逼塞感の重苦しさ。
そんな女性が自分らしい生き方を求めて、新しい出発を果たす。
その晴れやかさ。
重苦しさと晴れやかさの対比が印象的な映画。

* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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