ザ・イースト  
2015.12.24.Thu / 22:29 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






組織の倫理、企業の都合、団体の思想。

普通の人にとって、
大きな波に飲み込まれてしまえば、
それにあがなう事は難しい。
流れに逆らい、間違いを正すことは難しい。

知らなかったことを知らされた衝撃ゆえに、
価値観が他人のそれに染まってしまうことも、
よくあることだ。


過激な環境テロリスト集団に潜入捜査を実施した女性。
今まで経験したことのなかった事。
知らずに済んでいた事。
それらを知った時、
一旦は彼らのやり方に従うものの、
彼女自身が正しいと思う道を見つけ出す。

潜入捜査映画では定番的なストーリー展開かもしれない。
しかし、彼女が最後に取った選択。

人の倫理観の脆さ。
復讐の虚しさ。
けれど、人はそれにすら立ち向かうことが出来る。
人の可能性に爽快感を感じた映画。




非道なことをしても罪悪感を感じてはいない。
それは自分自身の身に被害が起こっていないから。
ならば目には目を。
そんな思想の元にテロ活動を続けている、ザ・イースト。
企業に雇われて、ザ・イーストに潜入捜査をする、サラ。
元FBI捜査官で、強い精神力を持つ女性。


ザ・イーストのメンバーがなぜテロ活動を続けるのか?
それは身内に被害者がいるから。
多くの被害者を目の辺りにして、
自身の心も酷く傷ついたから。
それら真実が彼らの悪事が本当のことだと証明しているから。

最初はザ・イーストに批判的であったサラ。
しかし、彼らが抱える真実の重さゆえに心が傾いていく。


テロを未然に防ぎたかった。
FBIでなら当たり前のこと。
しかし、企業の倫理はまったく違う。
顧客でなければ責任はない。むしろ放置すべきなのだ。
なぜなら彼らは将来における重要な顧客に成り得るのだから。
そんな現実に戸惑うサラ。


知ってしまった以上、もう昔には戻れない。
恋人も付いてきてはくれない。
職業を間違えたかも、、、
そんな疑問と後悔が頭を離れない。


汚水を垂れ流す企業のCEO。
その娘であり、ザ・イーストのメンバーでもあるイジー。
父親をターゲットとしてテロを実施する。

多分、イジーは子供の頃から両親のしていることに、
心を痛めていたのだろう。
被害を拡大し見て見ぬふりをしている。
被害に苦しむ人々、それを作り出しているのは自分の身内。
そんなことに心を痛め家出をしたのだろう。

しかし父親も実は苦しんでいたのだ。
一人汚水に飛びこみ、許しを請う。
そして、なぜこんなことになってしまったのかと嘆く。

大きな組織に所属していれば、
非道なことを実施する事に対する、ためらいは少ない。
自分が決めても実施するのは別な人。
自分が実行しても決めたのは別な人。
ためらえば企業が潰れる。個人の金儲けの為ではない。
時間が経てば慣れて来る。
けれど、心の奥底では悩んでいたのだろう。

正義の為のテロと言っていても、
実は、ザ・イーストのしていることは個人に対する個人への復讐なのだろう。
そして復讐は被害を拡大させ自身にも振り返ってくる。
シャンパンに薬を入れられて飲まされた人々は、
薬の製造を止めようとは思わないかもしれない。
逆にテロリストたちを激しく憎み、復讐にはしるかもしれない。
そして、両親への復讐の末に命を落としてしまったイジー。
復讐では誰も報われない。


最後に選ばれたターゲットはサラの所属する企業。
目には目を。監視には監視を。
しかしサラは、それに反対する。
ザ・イーストのリーダーに魅かれてはいた。
誘われたが別な道を選ぶことを決めたサラ。
そんな方法では誰も救われないと結論したのだろう。


最後はとても駆け足で話が進む。
けれど入手したリストで同志を募り、
企業の不正と非道を暴露し裁きを社会と法に委ねる。
傲慢にならず弱くもならない。それは、
相手が悪だからと言って何をしても言い訳ではない。
相手が巨大だからといって怯んではいけない。

人の倫理観の脆さ。
復讐の虚しさ。
けれど、人はそれにすら立ち向かうことが出来る。
人の可能性に爽快感を感じた映画。


* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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