ヒトラー暗殺、13分の誤算  
2016.01.18.Mon / 23:04 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ヒトラーを一人で暗殺しようとした男。
その理由は、とても私的なことからだ。
ヒトラーに従わなかった友人たちが惨い仕打ちを受けている。
ユダヤ人と付き合っているというだけで差別される。
ヒトラーに従う者たちは優遇されて、それ以外の者は切り捨てられる。
次第に失われていく自由。

ドイツが無謀な戦争に突入していくという不安。
国が荒廃するであろう未来に対する恐れ。
国を思う気持ちもあったかもしれないが、
それ以上に変わりゆく自分の周りの世界を憂いた様に感じた。

しかし、それは正解なのだろう。
国は国民一人一人が生きていくために存在するのだから。

大衆が選んだ独裁者にノーを突きつけた男。
その男の感性に深く考えさせられる映画。




ヒトラーは、ある日突然独裁者になれたわけではない。
ドイツ国民が彼を選挙で選び、熱狂的に向かえ、権力を与えた結果、
与えたはずの権力により、彼が自身の権力をより強くし、
最後には誰も彼を止めることが出来なくなってしまった。
これは、とても残念なことだ。
そんな独裁者に対しての人々の反応は様々だ。
熱狂的にヒトラーを受け入れた人々。
良くない事だと分っていても見ぬふりをした人々。
自分の感性に従い行動を起こした人々。


一人、ヒトラーの統治に不安を覚え行動を起こした、エルザー。
どこかの政治団体に属しているわけでもなく、
強い政治的な思想を持っているわけでもない。
しかし、ヒトラーを一人で止めようとした男。


1930年代のドイツの農村には、映画もなければラジオもなかったようだ。
村には電話も二台しかない。
彼らの生活水準は私が思っていたより低かったのだろう。
これは第一次大戦での敗戦も影響しているのかもしれない。
だからこそ、未来にあるであろう豊かさを目の前に提示されれば、
それを簡単に受け入れてしまったのだろう。

それでもヒトラーの狂気を見抜きノーをいい続けた人々も居た。
しかし、彼らは弾圧され、強制的に働かされ、最後には命をも奪われてしまった。
そんな現実を見てエルザーは決意したのだろう。

この映画のコピーには、
ヒトラーが最も恐れた暗殺者
という語句がある。
見終わった直後には、大げさなコピーのように感じられた。
けれど、今なら分る気がする。
このコピーの意味を正確に理解したかどうかは分らないが、
ヒトラーが恐れたのは政治的な思想がない一般国民にも、
自分の甘言に騙されることなく、
自分にノーを突きつけてくる者がいたことなのだろう。
もしかしたら、第二、第三のエルザーが現れるかもしれない。
自分が完璧に構築したと思っていた体制に、
融合することもなく、屈することもなく、
自分がどんなに甘言を並べても欺かれず、
自分の命を狙うであろう者が現れるかもしれない。
それが怖かったのだろう。
だから懸命に理由を求めたのだろう。
エルザーは敵対する他国の利益や、
政治的な意図を持って暗殺を実行に移したのだということを。



ただし、暗殺やテロという手段は、
その目的がたとえ正しくとも許されない方法だと思う。
それは、それ以外に選択肢がなくなってしまったとしても。
無関係な八人の犠牲者が出てしまったということだけではなく、
暴力に訴え政治体制を変えるという行いは、
ヒトラーがやって来たことと本質的には変わらないように思えるからだ。
だからこそ、そうなる前に防がなければならなかったのだろう。
しかし、それはとても難しいことなのだ。
甘言に騙されることなく、
見て見ぬふりを止めるという行いは、難しい。
けれど、それが出来なければ未来は荒廃してしまうのだろう。


大衆が選んだ独裁者にノーを突きつけた男。
その男の感性に深く考えさせられる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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