鑑定士と顔のない依頼人  
2016.01.25.Mon / 23:36 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。





人を愛するということを知らずに年を取った男。
初めて女性を愛し、
愛することで彼自身が変わり始め、
しかし、彼の恋心は無残にも打ち砕かれる。

それでも彼は待ち続ける。
あの恋は偽物。しかし、
いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む。
あの詐欺の中にも本物の恋があったと信じたい。

人間が嫌いだったはずの男。
そして手酷く裏切られた男。
それでも相手を待とうとする姿に、
不思議な感慨を覚える映画。



一流の鑑定士でありオークショニアである、ヴァージル。
人と交わることを嫌い避けている男。

人に煩わされたくはない。
人に傷つけられたくはない。
他人にどう思われようが自分を守りたい。
だから、友人も少ない。
孤独の食卓に皆が注目する。けれど動じない。

絵画は嘘をつかない。見れば価値がわかる。
けれど人には、その理屈は通じない。
それが怖かったのではないのだろうか?


ヴァージルに不思議な鑑定の依頼が舞い込む。
なかなか顔を見せない依頼人。
屋敷に落ちている歯車。
何度も気分を害されて断ろうとしたが、
後ろ髪を魅かれる様に忘れられない。

それこそが、彼ら詐欺グループの罠なのだろう。
なかなか顔を見せなかったり、
ヴァージルが共感し易い自分の弱みを見せ付けたり、
時に怒り、時に泣き、時にすがり、
狡猾にヴァージルを翻弄するクレア。


恋を知り段々と変わっていくヴァージル。
数少ない友人であるビリーが失敗した時、、
腕が鈍った、情けないと罵倒した。
けれど、絵を取り戻したビリーにヴァージルはとても優しい言葉を掛ける。
もともと、君への信頼は失ってはいなかったと。


果たして詐欺の目的はなんだったのか?
順当に考えればヴァージルの絵画が持つ巨額の金だろう。
しかし、ビリーにとっては復讐だったのだろう。
長い間、インサイダー取引を手伝わされた。
けれど、自分の絵の魅力は認めてもらえなかった。
そんな卑屈な感情からなのだろう。
ある意味で、ヴァージルは、
それまでの生き方からしっぺ返しを食らってしまったとも言えなくもない。


秘蔵していた絵画を奪われたヴァージル。
友人と思っていた人々、そして恋人にも裏切られた。
人間不信に陥ってもおかしくはない。
けれど、最後に訪れたクレアの思い出のレストランで、
じっとクレアを待つヴァージル。
人は裏切るかもしれないが絵画以上の喜びも与えてくれる。
それは偽物であったかもしれない。けれど、
本物であったと信じる価値があると判ったからの行動であろう。

その行為が報われるのか。徒労に終わるのか?
しかし、人を信じたい、愛したいと願ったヴァージルは、
もはや以前のヴァージルではない。隠し部屋の絵画などは不要なのだろう。
そして、それはとても幸せなことなのだろう。

人間が嫌いだったはずの男。
そして手酷く裏切られた男。
それでも相手を待とうとする姿に、
不思議な感慨を覚える映画。


余談だが、
途中までクレアの正体はオートマタだと思っていた。
それはそれで見てみたい映画ではあるが、、、
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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