百瀬、こっちを向いて。  
2016.02.04.Thu / 20:16 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人を愛するということを知らなかった少年。
しかし、人を好きになり、
人を好きになるという感情を理解し始め、
四角関係に悩み、苦しむ。
そして大人になった今でも忘れられないでいる。

けれど、残りの三人は彼よりは遥かに大人。
すでに自分自身で答えを見つけ出し、
人生を歩き始めている。
この少年が考えていたよりも皆、強い。

純粋故の青春の痛み、苦しみ。
しかし、それらは淡い幻想。
青春ってそうなんだなと感じさせてくれる映画。



髪はボサボサでダサい眼鏡を掛けている。
恋愛経験は皆無。
人をレベルで値踏みする。
とてもネクラであろう青春を過ごしている少年、ノボル。
けれど、先輩から頼まれて、
百瀬さんと付き合うふりをすることになってしまった。
明るく快活だが口はとても悪い少女、百瀬さん。
けれど、それは表の顔。
父親には「毎週動物園に連れていく」というウソを毎週つかれ、
母親が夜勤の時は「頼むよ、小さいお母さん」と頼られる。
大変なはずなのに、小さな弟と妹の面倒を見ている百瀬さんは、とても楽しそう。
ノボルの母親が作ったカレーも美味しそうに食べる。
それは、自分の為に創ってもらったものだから。
百瀬さんは、とても健気で人の優しさを理解できる大人の女の子。


命を助けてもらった尊敬する先輩、宮崎に頼まれたとはいえ、
宮崎の彼女である神林さんを騙している。
しかし、それ以上に、
百瀬さんを好きになり始めた。
けれど、百瀬さんは宮崎に夢中。
しかし、百瀬さんの恋愛は成就しないだろう。
そんな感情がノボルを苦しめる。

ダブルデートを何とか、こなした。
けれど、一人寂しく帰宅する、百瀬さん。
私はリップクリーム、神林さんは口紅。
デート中に自分と神林さんの違いを見せ付けられた。
適う訳がない。そんな思いが百瀬さんを苦しめる。
そして、このままで良いわけはないと感じたノボル。


宮崎は、本当はどちらを好きなのか。
それは映画では明確には描かれない。
けれど、自分の将来の為に神林さんを選ぶ宮崎。
それでも、百瀬さんの想いを断ることが出来ないのは、
宮崎の優しさなのだろう。とても残酷な優しさではあるが。

ノボルに咎められ、お前は相変わらずウザイ、と返す宮崎。
彼も本当は、百瀬さんの想いを断らなければならないと、
理解していたのだろう。
しかし、お前が知ってることだけが正しいわけではない。
それは、こちらの事情や苦しみも判らず、
一方的に責めてくるノボルに対する答えなのだろう。


宮崎が百瀬さんをフレば、百瀬さんはこっちを見てくれる。
ノボルは、そう考えたわけではない。
苦しむ百瀬さんを救うのは、これしか方法が無いと考えたからだ。

映画の冒頭では人を好きになるということを知らなかったノボル。
しかし、好きな人が出来て、好きになるという感情と苦しみを理解し、
好きな人を助けたいと考えたからなのだろう。


騙していたと思っていたら、それは神林さんの騙されたふりだった。
そして、あの頃のお陰で色々な事を乗り越えることが出来た、
今は世界一幸せだと言う。
女心の奥深さというよりも、これはノボルとの対比なのだろう。
大人の思慮で今を受け入れていた神林さん。
純粋さゆえに苦しんでいたノボル。
これが大人と恋愛初心者の少年の違いなのだろう。


映画では明確にされてはいないが、
最後にすれ違ったのは、きっと百瀬さんなのだろう。
相手が百瀬さんであることに気付いたノボル。
ノボルには気付かなかった百瀬さん。
ノボルにとっては百瀬さんは今だに忘れ難き人。
けれど、百瀬さんにとってはノボルは過去の人。だから気付かない。

あの時、この痛みは永遠に忘れないと言っていたはずの百瀬さん。
きっと、ノボルも似たような感傷を持っていただろう。
けれど、百瀬さんはすでに立ち直り、新しい人生を歩き始めているのだろう。
ノボルが思っていたより、皆、強いのだ。

気付かれなかったことに苦笑したノボル。
この時、自分だけが、あの時に取り残されていることを理解できたのだろう。

純粋故の青春の痛み、苦しみ。
しかし、それらは淡い幻想。
青春ってそうなんだなと感じる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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