珈琲時光  
2016.03.03.Thu / 19:10 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






静かに流れる時間。
父親と母親、恋人と思わしき人。
周りに居る、とても優しい人々。
それは、とても居心地の良い至福の時。
しかし、幸せな時は何時までも続かない。
穏やかな時間に忍び寄る暗い影。
静かなままで止まったかのように感じられる時間だが、
確実に動いている。

妊娠をして一人で子供を育てることを決めた女性。
それは安易過ぎる無謀な望みなのか。
それとも思い悩んだ末の決意なのか。
それでも彼女は、
今の穏やかさを守りたいと考えているように感じられた。


幸せな時間が崩れさる前の一瞬。
そんな刹那な時間が愛おしく感じられた映画。



フリーライターで東京で一人暮らす、陽子。
台湾の文化に強く魅かれているように感じられる女性。
そして、妊娠をして一人で子供を育てることを決めた女性。
この映画では3つの題材が描かれている。
一つ目は陽子の妊娠。
二つ目は陽子が幼き日に見た絵本の話。
そして、陽子が題材にしている江文也。
一見すると何の関係も無いような題材に感じられる。


妊娠したことを両親に告げる陽子。
そして、親しくしている男性、肇にも告げる。
それは、日頃起こった出来事をさらっと告げるが如く、、、

果たして陽子は、どんな気持ちで妊娠を受け止め、
そして、一人で子供を育てることを決めたのか?

映画の表面からだけでは陽子は何も考えていないように見える。
育児の大変さや一人で育てることの難しさなど、
とても安易に考えているように感じられる。
けれど、この映画の直前で台湾を訪れた陽子。
きっと、その旅行中に様々なことを考えたのだろう。
台湾の恋人と結婚して子供を育てるという選択肢。
嫁ぎ先としての彼の家と家族。生活の場としての台湾。
そして、一人で育てる場合はどうなるかなど。

家族や親しき人にさらっと告げたのは、
心配して欲しくはなかったから。
そして、反対して欲しくはなかったから。
一人で育てられると信じて欲しかったから。
今の穏やかな環境を守りたかったから。

けれど、陽子は不安なのだろう。

幼き日に見た絵本は陽子の不安の表れのように見える。
江文也に魅かれたのは、豊かな音楽の才能を持ち、
もっと恵まれてよかったはずの彼の人生が、
日本と台湾・中国との国境や国策で、
翻弄されてしまったからなのだろう。
そんな江文也の人生に生まれてくる子供の行く末を、
案じたからなのだろう。



静かに流れる時間。
それは、とても居心地の良い至福の時。
しかし、それは終わってしまうのかもしれない。
それでも、陽子は、そんな時間を大切にし、
それを守りたいと願っている。
たとえ子供を産んだ後でさえも。
けれど、それは難しいと感じざるをえない。

幸せな時間が崩れさる前の一瞬。
そんな刹那な時間が愛おしく感じられた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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