第七の封印  
2016.05.26.Thu / 19:19 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






神聖であったはずの十字軍の遠征は失敗し、
死神の如き疫病が猛威を振るい、
人々を死へと追いやる世界。
それは神の不在による地獄。

神の存在を信じられなくなった騎士。
信仰を捨ててしまった従者。
恐怖ゆえに神を信仰する人々。
そして生贄になる女。

ゆがんでしまった信仰。
しかし、神を有難い存在として信じ、
明日に希望を持つ親子。

信仰とは、
神を信じることとは。
そんなことを問いかけているように感じられた映画。
十字軍に従軍して帰国途中にある騎士、アントニウス。

10年にも及ぶ従軍で彼が見た地獄。
その地獄がアントニウスから彼の信仰心を奪おうとしている。
神は、なぜこのような地獄を放置なされているのか。
もはや、この目で神を見なければ信じることはできない。

死神にチェスを申し込んだのは、
自分の死を引き伸ばしたいからではない。
死神に問うてみたいから。
神は本当に存在するのかを。


アントニウスと共に従軍した従者、ヨンス。
腕が立ち、頭も冴える男。

以前のヨンスは、アントニウス同様、
神を信じていたように思える。
しかし、アントニウスと共に見た地獄が、
ヨンスに信仰心を捨てさせたのだろう。
信仰心を捨てて達観すれば、自由になる。
アントニウスのように苦しまなくても済む。
あるがままを受け入れ、
以前は聖職者であった男が泥棒に成り下がっても驚かない。


教会には恐ろしい壁画ばかりで、人々を恐れさせるのみ。
疫病も災害も信仰心が足りないから。
そして、明日にでもお前たちは死んでしまう。

恐怖から逃れたい。
そんな思いでのみ神を信じようとする人々。
自らを罰し、痛みつけ、生贄すら捧げて、
神に自らの信仰心を見せようとするものの、
すでに絶望のあまり死ぬことや、世界の滅亡を受け入れ、
明日を生きようとは考えていないように見える。

そして、そこにアントニウスの答えは見つからない。


遂にチェスの勝負が見えてきた。
というか、もともとアントニウスには、
勝ちたい気持ちがあったようにも見えない。
けれど、わざと駒を散らかし時間稼ぎをするアントニウス。
これは、役者親子を逃がす為。
そして、アントニウスは自らの質問に対する答えを、
すでに見つけていたように思える。

役者親子に振舞ってもらった野いちごとミルク。
皆の平和な笑顔。
眠っている赤ちゃんとヨフが奏でる楽器の音色。
交わした会話。
この平穏なひと時。
このひとときが恵みとなり、喜びとなる。
悩みも忘れる。どうでもよくなる。

実は、そんなひとときにこそ、神が息づいている。
そう、アントニウスは気付いたのではないのであろうか?

だからこそ、あの親子だけでも助けたい。
最後のチェスは、その時間稼ぎの為なのだろう。


死神や天使が見えるヨフ。
芸人らしくお調子者ではあるが、
妻と子供を深く愛する男。
彼らは明日を生きることに絶望していない。
むしろ、希望すら持っている。
死神や天使が見えるから希望を持っているというわけではない。
逆に、希望を持っているからこそ、天使も死神も見えるのだろう。

表面的に見れば、この親子に信仰心があるかどうか判らない。
けれど、自然の恵みを大切にし、
明日の希望を失わないで、明るく生きることは、
神が望んでいる生き方なのだろう。
それこそが神を信じる生き方なのだろう。


信仰とは、
神を信じることとは。
そんなことを問いかけているように感じられた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1384 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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