カッコーの巣の上で  
2016.06.02.Thu / 19:11 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






誰もが正しくて、
誰もが間違っている。
そして、体制の下に歪んでしまっている。

そんな体制の下にやってきた男。
そして歪みは誇張されていく。

お互いの立場があるのは良くわかる。
けれど、少しは歩み寄れなかったのか?
少しは相手のことを考えて対応できなかったのか?

相容れぬままに迎えてしまう悲劇的な結末。
そして、そんな体制から巣立っていく男。

体制に取り込めれてしまった人々の悲劇。
しかし、そこから飛び立とうとする男の勇気。
そんな勇気に心動かされる映画。





刑務所の強制労働から精神病院へ逃げ込んだ、マクマーフィー。
陽気で仲間思いの男。

精神病院の婦長、ラチェッド。
とても真面目な女性。
この映画は単純な支配される側と支配する側の対立を描いた映画ではないのだろう。

治療する側の目的は患者を治すこと。
だからこそ、患者を規律正しく管理する必要がある。
しかし、いつの間にか、目的はすり替わり、
規律正しく管理することが目的となってしまった。
そして、自分の意に沿わない行動を取る者を、
排除するようになってしまった。

それは治療される側も同じこと。
本当の目的は自分の病を治すこと。
しかし、いつしか、その目的は失われ、
支配されることを受け入れてしまっている。

なぜなら、それぞれの立場が居心地が良いから。
深く考えもせず、自分を騙し続ければ、とても楽だから。

しかし、そこに異文化がやってくる。

言葉が判らないふりをして、
相手の意のままに行動すれば、とても楽。
そこに自分の居場所を見つけていたチーフ。
誰にも干渉されず、誰をも干渉しない。
けれど、とても寂しい生き方をしている男。


精神病院を抜け出そうとしたマクマーフィー。
最後の置き土産とばかり、規律を破った騒動を起こす。
そのまま逃げてしまえば彼は安泰だった。
いや、怒りに任せてラチェッドのクビを絞めなければ、
彼は無事であっただろう。

ラチェッドがビリーの母親の名前を出して脅したのは、
何も規律を守らせる為だけではない。
踏みにじられてしまった自分のナースキャップ。
顔には出さないが、きっと、そこに怒りを感じたのだろう。
自分は彼らを取り締まることが出来る権力を持っている。
そんな立場に慣れてしまっている。
そして逆らわれたことに怒りを覚えてしまった。
だから、執拗にビリーを言葉によって、いびったのだろう。

マクマーフィーとの友情と母親への愛情。
その狭間で揺れ動いたビリー。
どちらも選択することが出来ないビリーが選んだのは、自殺。
自らを消滅させることでしか、
この如何ともし難い選択を逃れることは出来なかったのだろう。

それが痛いほどに理解できたマクマーフィー。
怒りをぶつけた結果、彼自身が消失してしまう。

マクマーフィーでは無くなってしまったマクマーフィー。
しかし、マクマーフィーの意志を受けついたチーフ。
楽な生き方よりは、自分らしい生き方を選ぶ。
それには体制から抜け出すしか方法が無いのだ。


支配する側とされる側。
慣れてしまえば居心地が良い。
何も考えなければ、楽に暮らせる。
けれど、そこにあるのは体制に取り込めれてしまった人々の悲劇。
しかし、そこから飛び立とうとする男の勇気。
そんな勇気に心動かされる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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