飢餓海峡  
2016.07.21.Thu / 20:08 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






人生を変えたかった男と女。
偶然にも手に入れた、人生を変えるには十二分な大金。
手に入れた大金は汚れているのかもしれない。
けれど、その後の清い行いが、
自らの人生を浄化するはずだった。

けれど、
人生を変えることができなかった男と女。
貧困と貧困者に対する偏見。
貧乏人にとっての厳しい現実。
捨てきれることが出来なかった過去。

ありきたりかもしれない。
けれど大金だけで人は幸せには成れない。
だから、お金を手に入れてからの男と女は、
別なものを求め始めたのだろう。
しかし、それは手に入れることが出来なかった。

懸命に生きようとした男と女。
しかし願いは虚しく生きることは叶わなかった。
そんな男と女の哀しさが切なく感じる映画。


とても長い映画。
そしてストーリーは単純な物語。
しかし、飽きさせない。
画面から溢れる圧倒的な迫力と緊迫感。
見事な演技を見せる俳優の方々。
特に、三國連太郎さん、左幸子さん、伴淳三郎さんは素晴らしい。
そんな緊迫感に魅せられる映画。





運命の悪戯か。神の気まぐれか。
偶然にも大金を手に入れることが出来た犬飼多吉と杉戸八重。
ともに人生を変えたいと願っていた男と女。
人生、なにをしても上手くは行かなかった。
もはや、運命は定まっていたかのように思えていた。
周りを見れば皆同じ。
自分も同様に貧困やどん底人生を抜け出すことは出来ない。
そう、感じて絶望してきた。
しかし、運命を変えることができた二人。

事業を起こして成功し、母親にも孝行ができた犬飼。
父親の病気を治し、東京で新しい生活を始めることができた八重。

だからこそ、八重の犬飼に対する感謝は尋常ではない。
そんな感謝が恋心に変わり、
最後には人生を生きる希望や支えに変わっていく。

しかし、そんな思いを知らない犬飼。
そして二人の出会いが悲劇をもたらす。



正当防衛だったかもしれない、けれど殺してしまった二人の男。
犬飼にとって八重の訪問は、
懸命に捨てて、忘れたかった忌まわしい過去を呼び起こす行為。
戻る道はないぞ、帰る道ないぞ。
人を殺して汚い金を手に入れても、
善行を重ねれば幸せになれるはずだった。戻れる道はあるはずだった。
しかし、過去は、犯してしまった罪は追って来る。

犬飼が八重を殺したのは、口封じだけではなく、
捨て去ったはずの過去への拒絶という意味もあったように思えてならない。


警察に問い詰められて徐々に真実を知る犬飼。
八重も自分と同じ思いで生きてきたこと。
しかし、それを殺してしまった自分。
津軽海峡を渡る前までで自白を止めてしまったのは、
罪悪感故に、それ以降を口にすることすら出来なかったから、のように思える。
それ故に自殺をしたのだろう。


お金の力で人生を変えることができた。
しかし、それだけでは幸せには成れない。
八重は愛情を欲していたのだろう。
犬飼は罪滅ぼしをして安心感を得たかったのだろう。
けれど、ともに報われないままに人生を終えてしまう。



懸命に生きようとした男と女。
しかし願いは虚しく生きることは叶わなかった。
貧困に生まれついた者たちには幸福への道はないのだろうか。
そんな男と女の哀しさが切なく感じる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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