風立ちぬ  
2016.10.06.Thu / 12:13 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






美しい飛行機に憧れ、
一心不乱に、その美しさを実現しようとした青年と彼の仲間たち。
それは、とても至福の時。

しかし、彼らの情熱の向かう先にあったのは戦争。
彼らの創り出した飛行機は人を殺す兵器。

うちひしがれた青年は、
しかし最後には赦される。
青年の妻に青年を赦す力と資格があったから。

夢の果て。
失意を胸に、そこにたどり着いた青年。
それでも人は生きねばならない。
そんな人生の深い厳しさと優しさを感じた映画。


飛行士には成れないが、飛行機を創ることはできる。
飛行機の美しさに魅せられ、
飛行機創りに邁進する青年、堀越二郎。
この映画で描かれている堀越青年の人柄は、
良家の坊ちゃんで大切に育てられたからか、
とても好青年に見える。
実際に困った人には無償で助けの手を差し伸べている。
しかし、人の気持ちが分らず、
好きなことに没頭してしまう性格をも持っている。
シベリアを幼き子供たちにあげようとした堀越。
しかし、それは子供の気持ちがわからなかった堀越の、
偽善なのだ。


昭和初期の時代の日本は、
工業技術において10年は遅れていた。
その遅れを取りかえしても、取り返している間に、
また差がついてしまう。
だから、諸外国の倍以上の速度で追いつかなければ、、、

海軍から新しい飛行機の開発要求がやってくる。
皆で夜を徹して勉強会を開き、話し合う。
それは諸外国に追いつき追い越すために。
皆が輝かしい未来を信じて邁進している。
その光景はとても幸せな光景。
それでも彼らが開発し創り出しているのは、人を殺す為の兵器。

この映画では直接には描かれてはいない。けれど、
エンジンが非力ゆえに機体を出来るだけ削る。
そして、操縦士の防弾対策が犠牲になる。
その結果としての、多くの帰らぬ命。
夢を純粋に追いかけていたはずだった。
しかし、その結果はとても残酷なもの。
そして、堀越は自分の追いかけた夢の結果の先に待ち受けている悲劇を、
意識しないで追い求めてしまったように見えてならない。
しかし、悲劇を目の当たりにして、うちひしがれる堀越。



堀越と偶然に出会い、偶然再会できた、里見菜穂子さん。
結核を患っている女性。

最初は結核を治して結婚するつもりだった。
しかし、一緒に居たい気持ちを優先させて、
ともに生きるために、結婚をする。

結核は、もう治らないと諦めたのか。
しかし、菜穂子さんの気持ちは、
自分の美しい所だけを見せたかった、から。
その為に自らの命を捧げたのだ。
自分は死ぬかもしれない。
そんな未来を覚悟して結婚に望んだのだろう。


未来を深く考えず、夢を追い求め、
しかし、愛する人を失い、
残酷な結末を迎えてしまった堀越。

だからこそなのだろう。
堀越を赦し癒せるのは、菜穂子さんなのだろう。
未来を見据えて、その身を捧げた菜穂子さんだけなのだろう。

生きて。
ありがとう。
そう、命ある限り生きなければならないのだ。

夢の果て。
失意を胸に、そこにたどり着いた青年。
それでも人は生きねばならない。
そんな人生の深い厳しさと優しさを感じた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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