ヒトラーの忘れもの  
2017.03.23.Thu / 12:29 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






彼ら個人が悪いわけではない。
しかし、祖国が犯した罪を
命懸けで償おうとする少年兵たち。

ナチスが犯した罪。
戦争で受けた酷い仕打ち。
しかし、それと同じことをしようとした男。
報復ならば赦されるのか。
相手の祖国が罪を犯したのであるのなら、
それは赦されるのか。

2000名以上いたであろう少年兵。
そのうちの僅か四名だけを助けた。
それは偽善なのか。
いや、そうでは無いのだろう。
個人として交わした約束を一人の人間として守ろうとしただけのこと。
戦争は国同士で行う悲惨な行為。
しかし、個人同士までが憎しみあい歪みあう必要はない。
人として対等に付き合うべきなのだから。

男が救った四名。
その行為に、これからの平和への祈りを感じた映画。
第2次大戦直後のデンマーク。
残されてしまった、ナチスが埋めた地雷。
どのような経緯で決定されたのか、この映画では描かれてはいないが、
デンマークに残された兵士が除去することになってしまった。
そして、その中には多くの少年兵が含まれていた。

確かに祖国の過ちを国民に負わせるのは、
合理的で筋が通った考えのように思える。
しかし、彼ら個人が自分の意思で埋めたわけではない。
命令されたから、やったまでの事。逆らえば死刑なのだから。
そして、少年兵の多くは、地雷設置には関わってはいない。
大人が残した負債を未来ある少年たちに償わせているのだ。

そんな除去作業を監督することになった、
デンマーク軍のラスムスン軍曹
心の底からドイツを恨んでいる男。
けれど、そんな心情も少年たちとの交流と、
彼らが直面する悲惨な現実とで次第に薄らいでゆく。


少年兵に辛くあたるデンマークの将官たち。
満足な食料も与えず、夜中にはリンチもどきなこともしている。
ナチスは確かにデンマークに酷いことをしたのだろう。
だからと言って、デンマークがドイツに同じことをして良いはずはない。
憎しみに心を曇らせ、ナチと同様な過ちを犯してしまっているのだ。
けれど、少年兵を庇ったラスムスン。


犬が地雷で死に、
再び憎しみに心を捕らわれてしまったラスムスン。
しかし、浜辺に誤って入ってしまった近所の少女を助けようとすることで、
そして、自殺してしまった少年兵への悲しみで、
ラスムスンの憎しみも薄らいでいったように感じた。


地雷撤去が終わり、
しかし、14名いたはずの少年兵は4名へと減ってしまった。
せめて、この4名だけでも返してあげたい。
以前のラスムスンならば、すべて同じドイツ・ナチに見えていたのだろう。
でも、個人と個人が交流すれば、一人一人が違って見える。
国と国とがいがみ合った、そして今でも憎んでいる。
けれど、そんな思いを個人と個人との関係にまで持ち込んでしまったのならば、
救いがない。
せめて人として付き合いたい。

男が救った四名。
その行為に、これからの平和への祈りを感じた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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