紙の月  
2017.04.06.Thu / 18:49 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






誰かに見ていて欲しい。
人間として、認められ、感謝され、好かれたい。
けれど、世界は彼女を無視するかの如く、
見ていてはくれない。

自分の生き方と世間の価値観。
世間の価値観に縛られれば、
無視が続く孤独な人生。
多額のお金が無駄に眠る不条理な世界。
しかし、世間の価値観は偽物。
壊したって構わない。
そして、この映画も彼女を否定してはいない。

自分を守るために世間の価値観に背を向けた女。
そして、どこまでも突き進んでいく覚悟を決めた女。
その壮絶な生き方が凄まじく感じられた映画。




銀行で契約社員として働く、梅澤梨花。

梨花の夫はとても優しいのだか、
しかし、梨花の事を見てはいない。
梨花の仕事は、単なるこずかい稼ぎと思っていたり、
記念に買った時計を安物と言い、
それを忘れたかの如く別な時計を買ってくる。
夕食も一人で先に済まし、
転勤が決まれば妻は着いてくるものと思い込んでいる。
最初は少しお金を借りただけ。
けれど、それがきっかけで横領にのめり込む。
自分の背を押してくれた若い男。
別に恋に溺れた訳ではない。
自分らしく生きたいと思っただけ。
それは、もっと、ずっと以前から。
誰かが自分を見てくれていて、
誰かが自分に感謝してくれる生き方に。


この世界の規則や価値観は、すべて偽物。
偽物だったら壊してもいい。
というよりも、本当は壊したかった。
自分を守るために。
だから月が紙に見えてホッとしたのだ。
自分が間違っていないことに確信が持てて。


梨花の同僚でベテランである、隅より子。
梨花のように大金を持ったら何をするのか?
けれど、徹夜しか思いつかない。
とても寂しい人生のようにも感じるが、
しかし、より子は今の生き方を自分の生き方と認めているのだろう。
自分さえ認めていれば、それで十分なのだ。
だから、誰かが、より子を見ていなくても、
より子は道を踏み外すことはないのだろう。


あなたは此処まで。
そう言われた時、
今まではそうだと観念していた。
けれど、実は先があることに気づく。

一緒に行きますか?
けれど、それは、より子の生き方では、なかったのだろう。


中学生の頃に否定された、自分の善意。
けれど、目の前に、その結果が存在している。
この映画では、梨花の生き方を否定はしていない。

自分の生き方をまずは肯定し、
そして、世界と交流し、その違いに悩み、自らを変え成長していく。
梨花には、そのプロセスがずっぽりと抜けていたのだろう。
遅すぎたのかもしれないが、ここからが始まりなのかもしれない。



自分を守るために世間の価値観に背を向けた女。
そして、どこまでも突き進んでいく覚悟を決めた女。
その壮絶な生き方が凄まじく感じられた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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