サンザシの樹の下で  
2017.05.25.Thu / 19:56 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






純粋に、真っすぐに、
お互いを想う二人。
しかし、二人を邪魔する、さまざまな障害。

社会が押し付ける価値観に盲目的に従い、
貴重な時間を無為に過ごし、
最後には死んでしまった青年。

少女が持つ淡い恋心の儚さと切なさ。
それ以上に感じたのは、
中国という国が持っていた不条理。
人を幸せにするための仕組みが
人を縛り、自由を奪い、
息を殺すように生きなければならない。

そんな不条理に哀れさを感じた映画。



農村学習で知り合った二人、ジンチョウとスン。
とても初々しくて、純情。
お互いの事を強く思いやる二人。
手から飴を取るのも遠慮がちだった。
最初は枝越しに手をつないでいた。
その距離が段々と近づき、
最後には手を握り合う。

休みをやりくりして、
陰ながらジュンチョウを見守るスン。

人前では他人のふり。
けれど、二人きりでは仲良く語り合う。
そして、ぎこちなく一つのコートで抱き合う。

ストーリーとしては定番的なのかもしれないが、
見せ方がとてもうまい。
二人の表情が、とても初々しくて幸せそうで、微笑ましい。

けれど、二人を邪魔する障害。
母親に密会を見つかり会わないことを約束させられた。
別れ際にジンチュウの包帯を巻きなおすスンが健気で、
しかし可哀そう。


正式な教師に成らなければ人生を棒に振る。
だから問題は起こせない。
二人で会うことも許されない。

人々の幸せを願ったであろう毛主席。
けれど、出来上がったシステムは不条理を抱えている。
人が人を差別する。虐待する。
無理をしてでも党に奉仕しなければ切り捨てられる。
党に評価されなければ悲惨な生活を強いられる。

だから、しばらくは会わないようにしていたジンチョウとスン。
けれど、スンが入院してしまった。
今までは問題を起こさないようにしてきた。
けれど、学校に嘘をついてスンに会いに来たジンチュウ。
社会の規律よりも、自身の将来よりも、
大切なことがあるとわかったからであろう。
病院の外と内に隔てられた二人の会話が微笑ましい。
玄関で眠るジンチュウを見つめるスンの眼差しから愛があふれ出す。
ベットに二人で寝ても、怯えたジンチュウには手を出さないスン。
そして川に隔てられながらもお互いを抱きしめる二人。
「その金魚の君は本当にいいひとかもしれない。
 本当に愛しているんだわ。」
そんな純粋さが画面から十二分に伝わってくる。
しかし、スンはその命を散らせてしまう。

白血病というのは、この手の映画の定番なのかもしれない。
けれど、死に逝くスンが見つめていたのは、
天井に貼ってあった幸せそうな二人の写真。
これには泣かされた。

サンサジの樹はダムに埋没した。
時は無情にも流れてゆく。

もし人々が二人を受け入れていたのならば、
運命は変わっていたのかもしれない。
制度が悪いのか、それを動かす人が悪いのか、
無為に時間を過ごしてしまった二人。


少女が持つ淡い恋心の儚さと切なさ。
それ以上に感じたのは、
中国という国が持っていた不条理。
そんな不条理に哀れさを感じた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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