独裁者と小さな孫  
2017.06.01.Thu / 20:35 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






革命により権力の座を追われ、
孫を伴い逃避行を続ける独裁者。

現実を教わらないことは幸運な事なのか。
それとも不幸な事なのか。

自分は助かってもいい人間だと思っていた。
しかし、自分が他人に科してきた罰。
それは自分が考えていた以上の悲劇を産んでいた。
愛していたはずの女性の声も自分には届いていなかった。


独裁者が居なくなれば世界は良くなるのか?
しかし、目の前の悲劇は止まらない。
そもそも、彼を独裁者として祭り上げ、
権力を与えてしまったのは誰なのか?

大衆の恐ろしさが胸に迫る映画。




革命により独裁者の地位を追われ、
孫と二人きりの逃避行を続ける、大統領。
孫は現実を理解できていない。
自分たちが、とても危険な立場に居ること。
もう帰れる場所は失われていること。
人が死ぬこととは、どういうことなのか。
そして、自分たちが、とても恨まれていることをも。

それは孫が幼いからだけではない。
孫が受けてきた英才教育。
しかし、それには庶民の生活のことなど含まれてはいない。
だから、人々の苦しみも知らない。
それは孫にとっては幸福な事なのか?
それとも不幸な事なのか?
大統領の地位が安泰ならば知る機会もなかったこと。
けれど、知らずに育ったことは、
やはり、不幸と呼ばざるを得ないのではないのだろうか?


盗みや脅しを続けて、
必死の逃避行を続ける大統領。
孫ともども、助かりたいと欲していたからでもあろうが、
自分は助かる価値がある人間と考えていたからでもあろう。
それは窃盗をしてまでも。

けれど目にする悲惨な光景。
それは自分が作り出してしまった混乱。
大統領が善政を行っていれば起きなかった悲劇。
昔の恋人に助けを求め、
しかし、彼女の助けの声が自分には届いていなかったことを知る。
自分は助かるだけの価値がある人間なのか?
銃を捨てたのは橋の検問を通る為だけとは思えなかった。
きっと、もう窃盗はしないと考えたから。
そんなようにも感じた。


大統領が諸悪の根源のはずだった。
けれど、大統領が居なくなっても幸せは訪れない。
ますますの混乱。
ますますの悲劇。

そもそも大統領だけが悪かったのか?
大統領に横暴な専制政治を許したのは誰なのか?

恨みに目がくらみ、
先の事が考えられない大衆。
大統領に横暴な専制政治を許した、その本質はなんら変わらない。
だからこそ、悲劇は続くのだろう。
大衆の恐ろしさが胸に迫る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1493 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.