2017.06.15.Thu / 21:17 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ある日、突然、働けなくなってしまった男。

効率化とルールに縛られ、
硬直してしまった福祉体制という名の迷宮。
そんな迷宮に迷い込み、
容易に抜け出すことはできない。

それまでは善良で勤勉な市民であった。
しかし人としての尊厳を奪われ、死んでしまう。

私は人間で、犬じゃない。
その悲痛な叫びが心に重く圧し掛かってくる映画。

そして、これが福祉先進国であったイギリスの現状なのだろうか?
日本でも同じことが起こっているのだろうか?
その惨状に目を覆いたくなるような映画。



40年間大工として働いてきた、ダニエル・ブレイク。
誠実で勤勉、困った人を見捨てることができない、男。
それまでは真面目に働いてきた。
しかし、心臓の病で、職を休むように医師に言われる。
にも関わらず、手足が動かせるということだけで、
就業可能と判断されてしまい、国からの補助は停止。

やむなく、失業手当を貰おうとするが、手当を貰う間は、
就職活動を実行していることの証明をしなければならない。
けれど、そもそもダニエルは働くことを医師から止められているのだ。
職を提供されても断るしかないダニエルは罵倒されてしまう。
それは見ていて痛々しい悲惨なシーン。

正当な権利の元、生活を補助してもらうだけのはずだった。
しかし、遅々として進まない手続き。
それは、あたかも迷宮に迷い込んでしまった様。
ルールや効率化、公平さを重んじれば、
このように複雑なシステムが出来上がるのかもしれない。
けれど、うがった見方をすれば、
社会的弱者になった途端、
自身に対する切り捨てが始まったということなのだろうか?
手続きを面倒なものにし、
申請手続きにパソコンを導入すれば、
社会的弱者への敷居は高くなり、
容易に切り捨てられるということなのだろうか?


職安でダニエルが知り合ったケイティー。
二人の子供を育てるシングル・マザー。

本当は大学に戻り勉強を続けたい。
自分と子供たちの未来の為に。
けれど貧困が、それを許さない。

子供たちに食べさせるために自分は何も食べていない。
だから、発作的に缶詰を開けて口に流し込む。
子供たちを優先させるために自分のものは何も買わない。
だからマーケットで万引きをしてしまう。
そして、最後には体を売ることを自ら決める。
それは、見るに堪えない悲惨な光景。


雨風が凌げる住居。
毎日の食事。
それらも生きる上では大切なのだろう。
けれど、ダニエル・ブレイクが求めたのは人としての尊厳。

それまでは善良な市民であった。
勤勉に働き、弱き隣人を助けて生きてきた。
犯罪は犯さず、真面目に税金を納めてきた。
しかし、最後に味わう惨めさ。
僅かなお金を貰うために、
嫌がらせにも似た質問や手続きにも耐えてきた。
けれど、自分は、たかりや怠け者ではない。
だから、そのように扱われることには耐えられない。


私は人間で、犬じゃない。
その悲痛な叫びが心に重く圧し掛かってくる映画。
そして、これが福祉先進国であったイギリスの現状なのだろうか?
日本でも同じことが起こっているのだろうか?
その惨状に目を覆いたくなるような映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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