午後8時の訪問者  
2017.07.27.Thu / 17:39 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。







職務に忠実な女性。
しかし、救いを求めたであろう呼び鈴に応えなかった。
そして、少女を死なせてしまった。
その激しい後悔が彼女の心を苛む。

人の心に向き合うということは大変なこと。
生半可な洞察力だけでは成し遂げられない、
非常に難しいこと。
しかし、小さな診療所の医者には、
そして、自身が目指す医療には、
とても大切な事。

人に向き合うことの難しさ、大変さ、そして、その大切さ。
それらが心に残る映画。




街の小さな診療所に勤めているジェニー。
実直で勤勉、職務にとても忠実な、女性医師。
診療所に研修医としてやってきたジュリアン。
しかし、発作を起こした子供を目の前に為す統べなく立ちすくむ。

あなたは患者の痛みに過敏に反応しすぎる。
それは、きっと患者を不安にさせ、
自身の手元も誤らせることを恐れたジェニーの忠告。
しかし、それを無視するがごとく反応しないジュリアン。
この時のジェニーには、なぜジュリアンが頑なな態度を取るかが分からず、
それ故にイラついていたのだろう。
そして、運命のベルが鳴る。

ベルに答えようとしたジュリアンを止めたジェニー。
本来の彼女ならば応えていただろう。
けれど、自分を無視しているジュリアンに、
自分の優位性を見せたかった。
そんな一時的な感情によって、
いつものようには行動しなかった。
そして、それを激しく後悔するジェニー。

せめて少女の死を家族には連絡したい。
罪滅ぼしというよりも、
それが唯一彼女が少女にしてあげられること。
少女の名前を探るうちに様々なことが見えてくる。


子供の時のトラウマで医師を諦めようとしていたジュリアン。
あの時は、そんなことが分からなかった。
分かった今は、ジュリアンの心に寄り添える。
けれど、分からなければ、どうしようもなかったこと。

父親から暴力を振るわれて、
しかし、それを誰にも気付いてもらえなかった。
自分を担当していた医者にさえも。
それに気付くにはどうすればよいのだろうか?


少女殺しに関与していた親子。
親を庇うために嘘を付く息子。
今の生活を守る為に自分を誤魔化し、息子にも嘘を強要する父親。

息子の動揺ぶりから、もっと多くの事を隠していると思ったのだろう。
最初の告白以降でも、執拗に息子に尋ね続けるジェニー。
そして、告白した父親にも厳しい態度で自首を迫る。
だから自殺未遂をしてしまう父親。

弱り切った心を抱えた人に強い態度で迫るのは、
その人を、ますます遠ざけ、弱らせてしまうことにもなる。
けれど、迫り続けたからこそ、
親子は最後にはジェニーを頼ったのだろう。


様々な人に少女の名前を尋ねた。
とても危険な目にもあった。
けれど、そんな行動が最後には少女の姉を見つけ出す。

妹が疎ましかった。
居なくなってホッとした。
けれど、心のどこかでは後悔もしていたのだろう。
最後に抱き合う二人。
姉の気持ちを完璧には理解できていないのかもしれない。
けれど、今ならば姉の心に寄り添えるようになったのだろう。

姉が去った後、患者である老婆が歩く傍に寄り添うジェニー。
診療所を継ぐということを決めた時には、
理解できていなかったのかもしれない。
けれど、今ならば理解できたのだろう。


不法入国などの様々な問題を抱えているフランス。
そんな街で人々の心に寄り添うジェニー。
人に向き合うことの難しさ、大変さ、そして、その大切さ。
それらが心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1508 / タイトル か行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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