2017.08.10.Thu / 22:20 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






大切なものを失うこと。
それは多くの人にとっては、耐え難き哀しみ。

映画は、そんな哀しみに寄り添い、
気持ちを癒し、生きる力を与えてくれる。
だからこそ、
その制作に携わる人には想像力が必要だ。
相手の哀しみを理解できるほどの想像力が。

大切なものを失ってしまった男。
けれど、生きてゆく。
夢や希望も失ってしまった。
それでも生きてゆく。
自分の力で光を見つけて。

人の生きる力。
その輝きが神々しく感じられた映画。




映画の音声ガイドを職業としている、美佐子さん。
仕事に対しては、とても誠実な女性。
けれど、美佐子さんは、
音声ガイドという仕事に対して、
自分なりの立ち位置を確立できないでいる。
自分の主観を述べれば、それは押し付けになる。
けれど、情景だけを説明するのでは、
作品が言いたいことは伝わらない。
その狭間で悩む美佐子さん。
音声ガイド用の試写会で厳しいダメ出しをする中森。
辛うじて見えている眼。
けれど、それも失われつつある。
その恐怖と闘う日々を過ごす男性。

中森にとって視力を失うとは、
単に目が見えなくなるというだけに留まらない。
彼が愛して止まない写真撮影。
カメラは自分の心臓も同じ。
それらを失ってしまうことは、
生きる希望も失われるということなのだ。


幼き日に追いかけた夕日。
それは決して届かない存在。
人生には、そんなものが沢山ある。
どんなに得ようと、もがいても、届かない物はある。

好きだった両親。
けれど、父親は帰ってこない。
以前の母親も取り戻すことは叶わない。

遂に視力を失ってしまった中森。
きっと自分の気持ちを理解してくれるであろう美佐子さん。
その美佐子さんを最後の被写体に選んだ中森。
目が見えなくなくなり、生きる希望も意味も無くなってしまった。
以前は、そう考えていたのだろう。
けれど、生きてゆく。
自らの心臓と思っていたカメラを捨てて。
探さなくても、追いかけなくても、
自分の足で歩く。
そう、覚悟を決めたのだろう。

映画の中の登場人物、重三。
総てを失い、自らの心からあふれ出す愛情の行き場所も無くなった。
それでも生きてゆく。
遠くの光を見つめながら。


人に生きる力を与えるのは、
希望や夢だけとは限らない。
人の心の奥底にある、生きる力。生きようとする意志。
それらが人を生かすのだろう。


人の生きる力。
その輝きが神々しく感じられた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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