怪物はささやく  
2017.09.07.Thu / 21:52 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






病弱な母親を持つ少年。

大好きな母親の為に優等生を演じ続けるものの、
しかし、心に重く圧し掛かる不安と、
不安から解放されたいという強い欲求。

怪物が語る三つの物語。
世界は複雑で不条理に満ちている。
善悪の判断は簡単にはできず、
純粋な悪などは存在しない。

けれど、その物語の本当に意味するところは、
母親から息子へと語り継がれる、
救済の為の物語。

最後には母親に本音を語ることができた少年。
本音を語ることにより、
自身を救い、母親と別れることができたのだろう。

少年が葛藤の末にたどり着いた幸せな風景。
母親の愛情が心に染みる映画。


怪物が語る3つの物語。
それは、とても美しい切り絵のような、
水彩画のようなアニメーション。
その美しさも堪能できる映画。




病弱な母親を持つ、コナー。
絵を描くのが、とても上手ではあるが、
学校では、いじめられっ子で孤独な少年。
果たして母親の病気は回復するのか?
けれど、コナーは感づいている。
母親の病気は治らないことを。
けれど大好きな母親の為に気丈に振る舞うコナー。
そして、病気は治癒するという母親の言葉を、
無理にでも信じようとする。


怪物が語る三つの物語。
善人と思われた王子は、愛する者を手にかけた殺人者。
しかし、国民に慕われ、王位に就く。
悪人と思われた魔女は、実は誰も殺しておらず、
しかし、国を追われてしまった。

愛する娘の為に信念を捨てようとした牧師は救われず、
牧師を見捨てた薬剤師は、彼にとっての正しいことをしただけ。

自分を無視する奴らが悪いはずなのに、
暴力を振るえば、悪いのは自分。
そして、注目されれば、無視され孤独が増すという矛盾。


世の中は不条理に満ちている。
善人だけが幸せに暮らすとは限らない。
それは、最後には死んでしまうキングコングのように。

そして、善悪の区分けも簡単にはできない。
誰が善人で誰が悪人なのか。
それは簡単には分からない。
そして罪を犯せば罰が待っているというわけでもない。


コナーに真実を語れと怪物は迫る。
真実とは自身の抑圧された不安と、
不安から解放されたいという欲求。

母親に死んで欲しくはないが、
死ぬと分かっていても願ってしまう、苦しみからの解放。

母親に生きて欲しいと告げるのは、無理なお願い。
母親が死んでしまうであろうというのは目を背けたい現実。
だから、今までは口に出せないでいた。
けれど、口に出さなければ、
自分の想いは自分の中でにだけ留まり、
出口もないから、さらに大きくなり、
自分の不安をますます大きくさせる。

最後には母親に本音を語ることができた少年。
本音を語ることにより、
自身を救い、母親と別れることができたのだろう。



自分には冷たいと感じていた祖母。
でも祖母は悪い人なんかではない。
今の、コナーになら理解できること。

自分を愛してくれているはずの父親とは暮らせない。
であるならば、父親は自分が好きではないのか?
そうでないことも、今のコナーになら理解できることなのだろう。


最後に目にした母親のスケッチブック。
そこにあるのは、母親と怪物が並んでいる絵。
怪物は母親がコナーを助けるために使わしたのかもしれない。
また、その直前に画面に映ったコナーの祖父の写真。
それは、怪物の声を演じたリーアム・ニーソン。
少し無理があるかもしれないが、
この怪物の物語は、
祖父から、その娘へ、そして孫へと語り継がれる救済の物語、
なのではないのだろうか?



怪物が語った三つの物語。
その物語の本当に意味するところは、
祖父から娘へ、そして母親から息子へと語り継がれる、
救済の為の物語。

その救済の物語が少年を救う。
少年が葛藤の末にたどり着いた幸せな風景。
母親の愛情が心に染みる映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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