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  散歩する侵略者  
2019.12.12.Thu / 19:00 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




人類最後の日
もう、というより、だからこそ
すがりつけるのは
やはり、この人


概念とは人に制約を課すものなのだろう。
侵略者たちに概念を奪われた人は、
制約がなくなり、
ある者は真理に目覚め、
ある者は幼稚退行を起こし、
ある者は任務を忘れてしまう。
しかし、一様に幸せそうに見える。
それは制約から解放されたからであろう。

侵略者たちを止めたかった男性。
しかし、最後には自らの体を投げ出し、
侵略に協力してしまう。

離婚してもおかしくはなかった女性。
愛を奪われ、最初は何も変わらなかった。
しかし、生きる力を失ってしまう。

愛は地球を救うというオチに隠されている愛の奥深さ。
愛というものの奥深さが心に残る映画。



突然、夫である真治がおかしくなってしまった。
真治が浮気していたこともあり、
真治にとても辛くあたる妻の鳴海。
真治がおかしくなってしまったのは、
異星人に体を乗っ取られたため。
そして、その異星人は人間を調査するため、
人間から概念を学び、結果として概念を奪ってしまう。

概念を奪われた人は、
しかし概念が与えていた制約から解放され、
奔放に行動するようになる。
「所有」から解放された青年は街頭で演説を始め、
「仕事」から解放された男は職場で遊び始める。
そして彼らは、とても幸せそうだ。
それは、解放されて、やりたい事を躊躇せずできることの幸せ。
本来の自分の姿に戻ったからなのだろう。


一家惨殺事件を追うジャーナリスト、桜井は、
侵略者である天野と行動を共にする。
最初は彼らの侵略が半信半疑であった。
しかし、徐々に納得せざるを得ない。
けれど、人類よりは侵略者たちに肩入れする桜井。
彼らが何をするのか見てみたい。
自分の言うことを聞いてくれない人々よりも、
自分を騙し利用しようとする人々よりも、
正直に自分に接してくれる侵略者に、
親近感を憶えたであろうからかもしれない。
そして共に行動して情が移ったからかもしれない。
最後には自分の体を差し出し、侵略者を助ける桜井。


浮気をした。
人が変わったように奇妙な行動を起こす。
これでは離婚されてもしかたない。
しかし、真治を見捨てない鳴海。
イライラして文句を言っても、しかし見捨てない。

本当の真治の知識を吸収し、
真治として理想の夫になろうとする真治。
侵略者は真治の本心をしゃべり、行動する。
もう、侵略者なのか、真治なのかもわからない。

人類最後の日。
もう、というより、だからこそ、
すがりつけるのは、やはり、この人。

鳴海は真治の事を愛しているのだろう。
浮気されても、奇妙な行動を起こしても、
侵略者と融合しても、融合する前であっても。
その総てを愛おしい。
そう思ってきたのだろう。
そんな愛情を理解して欲しかった。
だから真治に愛を奪って欲しいと願ったのだろう。

愛を奪われた鳴海は、しかし、
他の人とは違い、幸せにはなれなかった。
愛情がもたらす制約は、実は人を幸せにしてきたのだろう。
少なくとも、鳴海にとってはそうなのだ。
だから制約から解放されても幸せにはなれない。
真治を見捨てることができるようになっても幸せにはなれない。

奪われても何も変わらなかった。
しかし、生きる力を失ってしまった鳴海。
もう、自分の身を守ろうともしない。

愛が無くても人は生きていける。
だから変わらなかった。
しかし、愛が無ければ人生は味気ない。
だから生に固執しなくなってしまった。

愛を奪ったというよりも与えられた真治。
鳴海に寄り添って生きることを望んだのだろう。
それは真治には幸せな事なのだろう。
これは自身を縛る制約ではないのだから。

愛は地球を救うというオチに隠されている愛の奥深さ。
愛というものの奥深さが心に残る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.1748 / タイトル さ行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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