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  エンテベ空港の7日間  
2020.01.16.Thu / 18:25 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






理想を実現するために暴走する男。
仲間への贖罪の為に死に場所を求めた女。
和平への道に思案する首相。
現実を見据え人質奪回を進める国防大臣。

四名の犠牲者を出したが、
人質は無事に救助された。
しかし和平への道は遠い。

理想を実現するはずだった。
しかし、死んでしまった二人。
その顛末に哀れさを感じた映画。




ドイツで編集者であったボーゼ。
人生で無意味な時間を過ごしたくはない。
ならば行動あるのみ。
ナチの蛮行を反省するあまり、
イスラエル問題を放置ぎみなドイツ。
しかし、ナチを反省するならば、
ファシストであるイスラエルを放置すべきではない。
そして、間接的にイスラエルを支援しているフランス。
これらを正すのはヨーロッパに住む者の義務なのだ。
そんな思想に取りつかれているボーゼ。
ハイジャックを起こしてみて直面する厳しい現実。
交渉の主導権は奪われ、
やっていることはナチと同じ非道な行為。
しかし、もはや後戻りはできない。
自分が正しいと盲信する以外に道はない。

ハイジャックした飛行機の機関士が訪ねる。
君の人生は無駄ではないのか?
人の役に立つような働きをするのが有意義な人生であり、
盲信の末に、他人に踊らされるような人生は、
意味の無い人生なのだろう。

人質を殺す覚悟はあるのか?
自分の命を投げ出す覚悟はあるのか?
ボーゼ自身はイエスと答えるだろう。
しかし、本当の意味での覚悟は無いのだろう。
理想に燃えて暴走した、しかし、直面する厳しい現実。
なにもしなければドイツで平凡だが幸せに暮らすことができた。
そんな人間が人を簡単に殺せるわけはないのだろう。


敬愛していた同志が獄中で自殺した、いや、殺された。
彼女が捕まったのは私のミス。
だからこそ、この作戦を成功させたい。
恋人とも別れて死地とも言える場所に来たブリギッテ。
ボーゼよりは現実に割り切っていたのだろう。
ナチ同様の選別にも進んで従う。
しかし、薬なくしては前には進めない。

恐らくは死を覚悟していたのだろう。
最後に恋人に電話する。
自分の故郷はすでに失われた。
けれど、新しい故郷を見つけたい。平和で安らげる場所を。
しかし、そんな望みも叶わないと知っている。


果たして和平の道はあるのか?
このまま戦い続ければお互い滅びるだけではないのか?
苦悩する首相。
しかし、交渉に応じれば更なる被害者が出ることは確実なのだ。
それでも信じたい。
今、敵としている相手は、しかし、同時に隣人でもある。
この台詞がとても重い。


作戦は決行された。
多くの者が死んでしまったが、乗客のほとんどは救出された。
死んでしまったボーゼとブリギッテ。
彼らの人生は無駄ではなかったのか?


時折挿入されたダンスのシーン。
イスラエル問題の混乱さや、
傷つけあう悲惨さを比喩しているそうである。
しかし、感じたのは、
多くに阿るのではなく自身の信じたことに殉じること。
行動には痛みが伴うが痛みを恐れてはいけないこと。
痛みに耐えることができなければ行動できないこと。

自らの行動に、どのくらいの痛みが伴うのか、
想像すらしなかったのであろうボーゼとブリギッテ。
自身の望む道には多くの痛みが伴うであろうことを知っている首相。
この差は大きいのだろう。


生き急ぎ、性急な選択をしてしまったボーゼとブリギッテ。
その顛末に哀れさを感じた映画。
* テーマ:最近観た映画 - ジャンル:映画 *
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