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  彼女の人生は間違いじゃない  
2020.05.21.Thu / 21:05 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






自分自身の将来の為に。
自分自身を守る為に。
もっと賢い選択肢はあるのだろう。
しかし、苦しみ、もがき、遠回りをして、
自分が不幸になるような選択をし続ける彼女。
しかし、彼女の人生は間違いじゃない。

彼女の人生を見守る眼差し。
その眼差しに静かな優しさを感じた映画。




東北大震災から六年。
日常を突然奪われ、
未だに震災の痛手から抜け出せない人々。
農家だから他の仕事はできない。
死んでしまった妻の事ばかり考える。
毎日のように保証金でパチンコに興じる。
生活の総てを面倒見てくれる娘に甘え続ける父親、修。

時に愚痴る時もある。
しかし、父親を見捨てない娘、みゆき。
絶望に覆われた日常を繰り返し、
来ないかもしれない父親が立ち直る日を待ち続ける。
立ち直るきっかけを与えるわけでもなく、
強く諭すわけでもない。
ただ、じっと待ち続ける。

経済的な理由ではないのだろう。
興味があったからとか、
体験してみたかったというわけでもなさそうだ。
週末に東京に通いデリヘルの仕事をする、みゆき。
自傷行為によって、自分が生きていることを実感したいためなのか。
灰色な日常を一時でも抜け出したいためなのか。
常識で考えれば賢い行為とは思えない。

母親が亡くなったのにデートをしてていいのか。
そんなことを言われ別れてしまった恋人。
しかし、やり直したいと言われる。
もしかしたら、これが新しいきっかけになるかもしれない。
頼れる人が居れば心強いだろう。
しかし、自分がデリヘル嬢であることを告げてしまう。
無かったことにはできないから。
けれど、そう告げれば結果は見えている。
みゆきは、最初から断るつもりだったのだろう。


市役所に努める青年、新田。
震災で家族はバラバラ。
それでも弟を慈しむ。
それは、自分自身を慈しむことに繋がっているのだろう。

よそから来た大学生にインタビューをされる。
しかし、無自覚にも新田の心を責め、傷つける質問の数々。
所詮、外の人間には分からない。
福島の未来とか、将来構想とかには繋がらないだろう。
それでも、住民一人一人の為に奔走する。
今の自分には、それしかない。
というよりも、それをこそ行いたいのだろう。

福島が故郷の写真家。
だからなのだろう。
彼女の写真は福島の人々の胸をうつ。

失った人と失わなかった人。
その間にある溝は深くて大きく、
誰も越えられないのだろう。


最後には立ち直る兆しを見せた父親。
恐らくは、みゆきはデリヘルを辞めるだろう。
現状の厳しさは変わらない。
それでも、すこしづつだが未来に日が差してくる。



自分自身の将来の為に。
自分自身を守る為に。
もっと賢い選択肢はあるのだろう。
しかし、苦しみ、もがき、遠回りをして、
自分が不幸になるような選択をし続けた、みゆき。

目の前にある問題に奔走する新田。
本当は、もっと有意義な事をすべきなのかもしれない。
それでも、住民の一人一人に寄り添う。


そんな彼らの人生は間違いじゃない。
彼らの人生を見守る眼差し。
その眼差しに静かな優しさを感じた映画。
* テーマ:最近観た映画 - ジャンル:映画 *
No.1792 / タイトル か行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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