さよなら子供たち  
2004.06.18.Fri / 22:11 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

知るには早すぎた不条理
連れて行かれた子供たちも
残されていった子供たちも
みな、消えないであろう傷を負ってしまった
哀しい戦争の被害者


淡々とはしていますが、とても細やかな映画です。
そして、見終わった直後よりも、しばらくしてから心に響く映画。
とても良い映画、すばらしい映画だと思いました。
ちょっと、重すぎるかもしれないと、今まで敬遠していたのですが、
思い切って、見てよかったです。
思ったとおり、重たい映画でしたが、それでもすばらしい。
反戦映画かもしれませんが、反戦という範囲を超えた映画です。
この映画を私に推薦してくださった方に感謝します。
「学校で死について考えるのは僕だけだ。」
大人のような冷めた目を持つジュリアン。
しかし、大人にはなりきれていない少年です。
同じような臭いがしたのでしょう。新入生のボネが気になります。
反発したり、喧嘩をしたり、黙ってロッカーを覗いたり、
そして、最後には打ち解けあいます。

しかし、
「人はいつか死ぬ。」
「1944年1月17日という日は二度と来ない。」
ジュリアンの予言のような台詞が見ているものを不安にさせます。


ついに、ナチによって、静かに、しかし有無を言わせず、
日常が破壊されてゆきます。
子供たちが、すべてをきちんと理解できないままに、、、

自分が今後どのようになるのかを知っているにもかかわらず、
この不条理にあえて逆らうこともなく、それを甘んじて受けようとするボネ。
無言で友達ひとりひとりにお別れの握手をしていく彼の姿には、
感動にも似た驚きを覚えました。
戦争は、彼をここまで大人にしてしまったのか?
たぶん、ジュリアンは、初めて知ったのでしょう。
彼の大人びた雰囲気のわけを。

知るには早すぎた不条理を知らされてしまった子供たち。
頭では理解できても、感情的には理解できていないように感じました。
ジュリアンも、密告をした少年に対して戸惑いを隠せません。
そして、非日常でありながらも、口に出てしまう日常的な言葉、「さよなら」
しかし、校長先生は生徒にまっすぐ向き直り、それに答えます。
「さよなら、子供たち。」
それは、言葉にはならない教育。
「教育とは自由の使い道を教えることだ。」
この台詞を密かに実践していた校長先生に深く感動しました。

しかし、子供たちが心に負った傷は、一生消えず、
いつまでも、いつまでも、ゆっくりと血を流し続けるのでしょう。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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2008.08.15.Fri .No249 / 戦争映画 / PAGE TOP△
少年から大人になる時期に「ドイツ占領下のフランス」に暮らした監督の体験が元になった映画だそうです。人種差別を声高に叫ぶのではなく、「子供の表情」で表現している点は見事です。
2010.07.23.Fri .No388 / 映鍵(ei_ken) / PAGE TOP△

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