サハラに舞う羽根  
2004.07.02.Fri / 23:28 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

一人の青年が人生に挫折し、しかし、自分を取り戻してゆくまでの映画です。
しかし、いろいろなテーマが詰まっていて、焦点が絞りきれず、
まとまりきらない印象の映画でもあります。

戦争を目前に軍隊から除隊したハリー。
常識で考えれば当たり前のはずなのですが、
ハリーには、軍隊に入隊すれば戦場に行かなければならないことも、
そして、除隊すれば、まわりが彼を非難することも、
そんなことが起こるとは、夢にも思っていなかったのでしょう。

このあたりの心理変化が本当に分かり図らい映画です。
「死にたくないから戦場にはいかない。」
この選択は、現代の私たちにとっては明らかに正当なものです。
だから、見ていて、彼の過ちに気づきにくくなっています。
彼の過ちとは、自分の人生を真剣には考えていなかった点にあります。
だから、父への義理で安易にも軍隊に入隊し、
目の前の恐怖が本物になった時に、軍隊から除隊し、
思いもかけない反発にあってしまいます。
4枚の羽根をもらい、自分を失うハリー。
父にも、友にも、婚約者であるエスネにも見放されてしまいます。
名誉回復のためか、汚名を背負い続けることに臆病になったのか、
自分ができることを探す旅にでます。
そして見つけた戦うための理由。
友を救いたい。
それは恐怖に負けてしまった自分を救うための戦いでもあります。
しかし、なかなかにうまくは行きません。

スーダンで出会った、奴隷階級の男、アブー。
彼もやはり、周りから疎まれ、一人ぼっちです。
しかし、二人の生き方、考え方はまったく違います。
友情や名誉のために戦うハリー。
出会いや運命を神聖なものと考え、それに従い生きるアブー。
台詞の端々からは、お互いの生き方に深く共感し、
最後にはお互いを尊敬していることも伺われます。
アブーがハリーを助けるのも、彼の生き方がそうさせているだけではなく、
彼が涙を流したように、ハリーの生き方に深く感動したためであると思います。
しかし、それは映画を見た実感としては感じにくくなってます。
このあたりもこの映画を分かりにくくさせている原因かもしれません。


人生は挫折しても、やり直すことができる。たとえ、それが長い道のりであろうとも。
意思や決意だけではない、運命や出会いを受け入れる強さも人生には必要である。
恐怖はなくならない。しかし、友のためならば戦うこともできる。
と、この映画は締めくくっていますが、
しかし、戦場で戦う理由、目の前にある恐怖に立ち向かう理由にはなりえても、
戦争をしてもいい理由にはなりえません。
彼らが軍隊に入隊した理由や、イギリスが戦争をする時代背景が
すっぽりと抜け落ちているあたりが、
この映画をさらに分かりにくくさせている原因なのかもしれません。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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