ガタカ  
2001.12.31.Mon / 23:55 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

二人で一人を演じたジェロームとビンセント。
方や可能性を重荷に感じ、
水泳の頂点を目指しても、死を選択しても、果たせなかった男。
方や可能性を与えられられず、しかし、道を自ら切り開いた男。
最初はただの契約関係だったはずなのに、
次第に、お互いが足りない部分を補い、同じ夢を共有する運命共同体のようになります。

「可能性を決め付けるな!」
しかし、それ以上に、差別から逃れ、自由をつかみたい。
それは、何からの差別なのか?
DNAによる差別のシステムは人間が作り出したものかもしれない。
しかし、それだけではない。
運命、宿命、もっと大きなもの。
そんな、大きなものから逃れるには宇宙にでも行くしかない。
そして、その差別の正当性をビンセントは痛いほど知っている。
子供のときから、何事も弟には勝てなかった、、、
しかし、それでも、自分を信じたい。
自分には可能性があるはずだ。いや、なければ死んでもいい。
決死の覚悟は、最後には、弟との勝負に勝ちを呼び込みます。
身長を伸ばす手術を拒むビンセント。
自分の肉体だけで、勝負したかったのでしょう。
自分の体だけで、今の世の中に「No」を突きつけたい。
その気持ちが痛いほどよく分かります。

しかし、ビンセントは近い将来、やはりDNAには逆らえず、死んでしまうのでしょう。
もしかしたら、宇宙飛行の最中に、、、
それでも、宇宙を目指します。
いや、彼は還る気は無かったのかもしれません。
自分の可能性を、生き方を、そして死に方さえも、選ぶ権利は自分が持っているはずだ。
他の誰にでも、自分のDNAにさえも決めて欲しくなんかない。


ジェロームは、ビンセントの裏返しの存在なのでしょう。
可能性を決め付けられ、常に勝利を求められ、エリートであることを期待される。
多分、銀メダルをとっても誰も祝福などしなかったのでしょう。
いや、逆に周りのすべての人間は落胆したのかも知れません。
誰もジェロームという人間よりは彼の遺伝子を見ていたのでしょう。
その重荷に耐えかねて自殺を図りますが、成功しませんでした。代償に失った足。
ビンセントの夢に協力することは、ただの契約だったはずなのに、
次第に、自分を差別していた大きなものに「No」を言うためにと、
変わって行ったのでしょう。
ビンセントが星の世界に逃れると同じように、
最後には、彼はこの世に「No」を突きつけ、永遠に旅立って行きました。
胸に自分という人間の証である銀メダルを手にして、、、

最後にビンセントは、知ることになります。
自分の努力が、実は陰ながら認められていたことを。
思えば、アイリーンもジェロームも彼を認めていた。
そして、実は医者までも、ずっと昔から、、、
この世を離れるという行為が、実は、自分の可能性に対する理解者を創り、
地球に居場所を作っていた。
なんともいえない皮肉。それでも、彼は星を目指します。
すでに、目的は達成されてしまったにもかかわらず、
自らの生き方に決着をつけるために。
「地球には居場所がないと思っていたのに、去るのがつらかった。」
なんともいえない哀しいラストシーンでした。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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COMMENT TO THIS ENTRY
- from YAN -

ヤンさん、こんにちは!
この作品は、サスペンスかと思いきや、
人間を描いた、静かな余韻の残る作品でしたね。
ジュード・ロウの選択が悲しくてショックでした。

ヤンさんと私と感じた事はだいたい似ているのに、
表現力の差で、やっぱりヤンさんのほうがドラマティックに
細かいところまで逃さずに書いてあります。
なんやかんや言っても、可能性には限界があるのか~?( ̄∇ ̄*)ゞ

2008.07.08.Tue / 16:07 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

 YANさん、こんばんわ。
 私は最初、近未来を描いたSF超大作かなんかを想像してました。確かに未来の話ですし、セットのセンスも良かったと思いますが、確かに地味な印象でした。しかし、その分、人間が描かれていましたね。
 私的には、最後に医者が協力してくれていたことが分かったのがポイント高かったです。努力は、誰かが認めてくれている。そして協力してくれている。余韻のある終わり方でした。
 
 「可能性には限界があるのか~」なんて、大げさなことはありませんよ。YANさんの感想もすばらしいと思います。それと、似た感想を持った人がいるということは嬉しかったです。

 それじゃ、また。

2008.07.09.Wed / 23:58 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ホーギー -

こんばんは、ホーギーです。
この映画は、人の能力や人生は、遺伝子で決まるものではなく、夢の実現を願う思いが、いかに大切であるがということを教えてくれるSFドラマの傑作だと思います。
そして、優秀な遺伝子の元に生まれながら結果を出せず、結局他人に自分の能力を提供することによってのみしか自己実現できないジェロームを演じたジュード・ロウの演技が実に見事でした。
遺伝子という新しい視点からのテーマを扱ったとても興味深い作品です。もっと多くの人に観てもらいこの映画の評価が上がることを期待したいですね。それだけの価値のある素晴らしい作品だと思います。
ということで、これからも宜しくお願いします。それとTBもお願いします。

2008.07.27.Sun / 20:25 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

 ホーギーさん、こんにちは。

 夢の持つ力を描いた素晴らしい映画でしたね。それと同時に、なにか大きな別な物が自らの運命や人生を勝手に決めてしまう、そんな不条理に果敢に挑んだ二人。長く安らかに、しかし、システムに支配された生き方よりは、命がけでシステムにNoを突き付けた二人を描いた映画のように思えます。自由に自身の人生を決められることが、自身の人生に輝きをもたらすものだと信じたのでしょう。よい映画でした。

 それじゃ、また。

2008.07.31.Thu / 12:49 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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