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2023.03.02.Thu / 19:29 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






トンネル崩落事故により、
闇に鎖された男。
救助活動は遅々として進まない。

横行する手抜き工事。
生放送が重要な報道陣。
売名行為が大切な長官。
人名よりも経済を優先させる官僚。
しかし、絶望に挑み続ける救助隊長と男の妻。

他の人には単なる一人の男。
しかし、隊長にとっては、
必ず助けると約束を交わした男。
だからなのだろう。
最後の言葉は二人にとっては同じ想い。

人名を軽視し無視する人々。
しかし、一人の人間として向き合った男たち。
その差が光る映画。


日本映画で、
このようなストーリーが映画化された場合、
人命救助をドラマティックに描くであろう。
しかし、韓国映画では体制批判を描いている。
その差も面白く感じられた映画。




自動車販売を営むイ・ジョンス。
家族をとても愛している男。
しかし、トンネル崩落事故に巻き込まれ、
深い地下に閉じ込められてしまう。

ジョンスを救助するためにやってきた救急隊の隊長キム。
とても誠実に感じられた男。

ジョンスに電話を掛ける報道陣。
バッテリー切れでジョンスが窮地に陥ったとしても、
大切なのは被害者の生の声を放送すること。
バッテリー切れなど眼中になかったのだろう。
救助隊がトンネル内にドローンを飛ばす時に、
我先にとドローンを飛ばす報道陣。
彼らを止める術はないのだろうか?

国家の総力を挙げてジョンスを助ける。
そう明言した大統領と長官。
しかし、それらは彼らの売名行為。
ジョンスの妻であるセヒョンと写真を撮り、
それを報道させることが、何よりも重要。
救助活動で犠牲者が出れば手のひらを返す。

事故の原因は手抜き工事。
その手抜き工事の為にジョンスが閉じ込められていた場所も、
誤ってしまう。
そして見つかる他のトンネルの手抜き工事。
手を抜くことは病気のように韓国に蔓延しているのか?
妙に納得してしまう展開。

救助活動の為に止められていた他のトンネル工事。
しかし、工事が遅れれば経済に悪い影響を与える。
たった一人の男の為に皆が犠牲になるのか?
セヒョンに工事再開の署名を迫る官僚たち。
救助活動で犠牲になった作業員の母親がセヒョンを責める。
精神的には限界。
署名をしてしまうセヒョン。

ひたすらに救助を待つジョンス。
必ず助ける。生きて会おう。
ジョンスとの約束を守ろうとするキム。
自らも尿を飲み、ジョンスと同じ苦悩を味わおうとする。

ジョンスの生還は、もはや絶望的。
同じように閉じ込められた女性も死んでしまった。
スマホのバッテリーも切れた。
しかし、諦めない。
周りが自分たちを見捨てようとも。
絶望に挑み続ける。
そして生還できたジョンス。

自動車でトンネルを通過しようとするジョンス。
しかし、思い出す過去の凄惨な記憶。
それはトラウマというよりも、
韓国社会に蔓延する手抜きに対する不信感のように感じられた。


「お前ら全員クソだ!」
これは、ジョンスの言葉なのか、キムの想いなのか、
この映画では明かされない。
キムの言葉でありジョンスは同意した、
というようには見えるが、
二人が同じ想いを抱いていたことは間違いない。
そして、これは、
この映画が韓国社会に訴えたかったことのようにも感じられた。

人名を軽視し無視する人々。
しかし、一人の人間として向き合った男たち。
その差が光る映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.2068 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(0) /  PAGE TOP△ 拍手する
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