2023.03.16.Thu / 22:46
「ネタバレ」あり。ご注意願います。
トラウマにも似た想いを抱え、
恋愛に踏み出せないでいる少女。
今まで何も経験していなかった。
そしてこれからもそれは同じ。
けれど初恋の人との嬉しい再会。
未来は開かれると感じていた。
しかし、乳がんを患っていることが分かり、
未来の可能性を奪われると感じ、
周りにも辛くあたってしまう。
母親は自分のことを理解していない。
姉のように慕っていた人にも裏切られた。
誰も自分の事など見てはくれていない。
しかし、そうではないのだろう。
悔しかったら早く大人になれ。
同じ女性として対等に話をしよう。
そんな言葉に救われる。
彼の未来も絶望的だと思っていた。
しかし失敗しても立ち向かう。
愚直に自分の事を心配してくれていた。
だから、頑張れ。
その少年に、そして自分自身に。
将来の不安に立ち向かうことを決めた少女。
その姿が美しい。
彼女に祝福とエールを送りたい映画。
港町に母親と暮らす千夏。
男性と付き合ったことがない。
初恋の少年、光輝の言葉がトラウマにも似たようなしこりを残し、
恋愛に踏み出せないでいる。
中二までブラを買ってはもらえなかった。
母親は自分の乳房のことなど眼中にはない。
その為に水遊びにも加われなかった。
母親はいつまでも自分を子ども扱いで、
理解すらしてもらえない。
それは千夏の思い過ぎなのだろうけど、
子ども扱いをされているのも、また、
事実なのだろう。
光輝との再会で胸が躍りだす千夏。
だから乳がんの再検査なんて大丈夫。
ガンなんて、この胸に入り込む余地なんかない。
しかし、結果は悲惨なものだった。
姉のように慕っていた透子。
しかし、透子と光輝はできていた。
透子に裏切られた、というよりも、
様々な経験をした大人である透子がうらやましい。
やはり乳房を切らなければいけないのか?
負けを認めて上手く負ける事を考えるべきなのか?
まだ何も経験していないのに、
可能性を捨てなければならないのか?
追い詰められた千夏は、崇に辛くあたってしまう。
崇にとっては未来が限りなく閉ざされているのに、
崇は、それに苦しんでなどいない。
だから、ひどいことを言ってしまい後悔に苛まれる。
実は母親も失恋していた。
透子も光輝との軽はずみな遊びに後悔している。
しかし、苦しみの中にいる千夏には、
それが、まだ見えない。
それでも、
悔しかったら早く大人になれ。
同じ女性として対等に話をしよう。
大人たちが歩み寄ってくれた言葉が心に響く。
知的障碍者である崇は恐らくは理屈ではなく、
本能的に千夏のことを理解していたのだろう。
崇の愚直な行動に心が動かされる千夏。
断られても何度も挑み続ける崇。
そんな姿に励まされたのだろう。
可能性が無いと感じたのは自身の思い込み。
信じて何度も挑めば、
いつかは道が開かれる日が来るかもしれない。
そして可能性が無くとも挑み続けることが大切なのだ。
挑まなければ何も始まらないのだから。
だから、頑張れ。
崇に、そして自分自身に。
将来の不安に立ち向かうことを決めた千夏。
その姿が美しい。
千夏に祝福とエールを送りたい映画。