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  夜明け  
2023.05.11.Thu / 11:43 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






この映画を未見の人は、映画を見てから下記を読んでください。
ネタバレ満載なので。
お願いします。


偶然にも出会ってしまった青年と初老の男。

新しい人生を始めようとする訳アリの青年。
それには初老の男の情に頼るしかない。
しかし、徐々にその立場が逆転してゆく。
青年の存在は初老の男に欠くべからずものとなってゆく。

初老の男は、
最初は過去の失敗を償おうとしていたのだろう。
しかし、やっていることは同じこと。

青年は、
新しい人生を始めたつもりだった。
しかし、今までと何も変わらない。
求めていたものが手に入ったわけでもない。

この映画で描かれていた、有難いやさしさ、暖かな思いやり。
しかし、人間は、他人のことを思いやっているようで、
とても自己中心的な生き物なのかもしれない。
そんなことに寂しさを感じた映画。




故意ではない。
しかし憎しみで人の死を見過ごしてしまった青年、光。
実の息子と仲たがいしたまま、死別してしまった初老の男、涌井。
光の自殺を助け、ともに暮らすことになった二人。
行く当てもない。帰りたいとも思わない。
だから、ここで暮らす。それには涌井の情に頼るしかない。
最初は感謝していたのだろう。
自分の事を詮索しないのは涌井の懐の大きさとも感じていただろう。
しかし、それでは足りない。
過去を無かったことにして生きるだけでは足りないのだ。
罪を告白し真剣に話し合うことができる人が必要なのだ。
全てを無かったことにするのでは苦しくなるだけだ。

息子の話も聞かず仲たがいし死別してしまった。
目の前に現れた光を助けることは、
息子に対する贖罪だったのかもしれない。
しかし、光に過去を全て捨ててもらい、
息子の代わりになって欲しい、と願うようになる。
けれど、光の事は考えない。光の気持ちにも応えない。
自分が良いと考えたことを押し付ける。
それでは息子にしたことと同じなのではないか。

今までは自分で何も決められなかった。
家族の言う通りの生き方しかできなかった。
しかし、それでは辛い。
そして、現状は何も変わらない。
罪を告白し、この街を出ていく。
人生に何か展望があるわけではない。
しかし、自由が手に入った光。
これからの人生を自分で決められる自由が。

映画で映し出された人々の温かさ。
皆が光の事を心配してくれていた。
そして、それは涌井も同様だ。
その想いに懸命に応えようとした光。
それらが、とても美しく見えた。
けれど、人は、他人のことを思いやっているようで、
とても自己中心的な生き物なのかもしれない。
そんなことに寂しさを感じた映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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