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2023.11.02.Thu / 19:49 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。






ナチスに捕らわれ、
拷問以上の責め苦を負わされた男。
それに屈することなく、しかし、
その精神を疲弊してしまう。

人は衣食住を提供されただけでは生きてはいけない。
人間らしく暮らすには文化的な刺激が必要だ。
男が見せた鬼気迫る渇望が衝撃的な映画。

題名は「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」
ただ、どちらかと言えば、
ナチスに仕掛けられ最後まで耐え抜いて、
精神的に異常をきたしてしまったという印象を持った。
邦題が残念な映画。



ウィーンで公証人を務めていたヨーゼフ。
裕福で優雅な生活を送っていた男。
身の回りに迫りつつあるナチスの脅威。
それでも新聞を信じ、選挙が行われることを疑わず、
明日が今日と同じ日が過ごせると信じていたヨーゼフ。
信じていたというよりも目を背けていたというほうが適切なのかもしれない。
しかし、ナチスの侵攻により生活が一変する。

ヨーゼフが管理していた貴族の莫大な資産の預金番号。
それをナチスは欲していた。
しかし、それを白状してしまえば自身は殺される。
ここからヨーゼフの孤独で終わりの見えない戦いが始まる。

何もない部屋に監禁される。
質素で味気ない食事。
娯楽や文化との接触は断たれた。
人との会話も遮断されてしまった。
食事を運ぶナチスの軍人も口をきいてはくれない。
ただ単に食べて寝てを繰り返す毎日。
今日が何曜日で何時なのかさえ分からなくなってしまった。

秘かに入手したチェスの本。
何もすることがない毎日に変化が訪れた。
監禁前には興味もなかったチェスにのめり込むヨーゼフ。
それは自分自身を失うほどに。

チェスの本が見つかり取り上げられてしまった。
それでも記憶の中にある本にのめり込む。
預金番号の代わりにチェスの記譜を書き綴る。
自分の名前の代わりに本に登場したチェスプレイヤーの名前を記載する。
自分を失いチェスの本が自分の全てとなってしまったヨーゼフ。
それほどまでに文化に飢えていたのだろう。

最後には精神病院に入院してしまったヨーゼフ。
隣に居るのは看護婦か、それとも愛する妻なのか?
恐らくは後者なのだろう。しかし、
それすらわからなくなってしまったヨーゼフ。

人は衣食住を提供されただけでは生きてはいけない。
人間らしく暮らすには文化的な刺激が必要だ。
ヨーゼフが見せた鬼気迫る渇望が衝撃的な映画。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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