廃市  
2001.12.31.Mon / 15:41 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

美しく、たおやかな街の中で、
静かにゆっくりと、しかし深く進行してゆく悲劇。
時が止まったかのごとく、ゆっくりと流れるこの街に、
とらわれてしまった人々が、心の中で熟成してゆく破滅。
そんな、静かではあるが、異様な迫力を感じる映画。

夫を、恋人を、お互いに譲ろうとした姉妹。
しかし、相手を思ってのこと、だけではないだろう。
姉は、妹の明るさ、快活さをねたみ、
妹は、姉の美しさ、淑やかさに嫉妬していたのだろう。
しかし、自らの気位の高さからか、
そんなことは心の底にしまい込んで生活している姉妹。
そんなコンプレックスと気位の高さが、
愛しているはずの直之を追い詰める。
コンプレックスや嫉妬、気位の高さを育てたのは、
まぎれもなく、寂れゆくこの街の閉塞感と長くて重い歴史の流れ。
時の流れは、止まっているかのように感じられるが、
しかし、ゆっくりと確実に流れている。
それは、破滅に向かう時を刻むかのごとく、、、
最後には死を選ぶ直之。
彼は一見するととても身勝手なように感じる。
しかし、彼の行為は、彼の純粋さゆえなのであろう。
最後には、なんともし難い現状のために、
そして、妹の明るい未来のために、死を選ぶ。
しかし、死んでいった直之の願いは叶わず、
死んだ者にひきづられて、彼女たちは街から出ては行かなかった。

いや、本当は主人公ならば安子をこの街から救い出すことは出来たのだろう。
しかし、そうはしなかった。
彼の気持ちも、この街では時間が止まってしまったのかもしれない。


大林監督にしては、登場人物にやさしくない異色な作品。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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COMMENT TO THIS ENTRY
- from ガオ -

ヤンさん、こんばんは。
お邪魔します。
ヤンさんのハチたん節を味わいにきて
「は」のところを探していたら
『廃市』の記事が♪なんとタイムリー
実は、つい最近やっと観た映画なのです。
うんうん、そういえば大林監督にしては
登場人物に優しくない映画かもです。
でも、なんだか、この映画の壊れゆく感じが
すごく好きでした。かなりハマってしまっています。
柳川行きたくなりました。

2009.09.04.Fri / 02:50 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

ガオさん、こんばんわ。

 大林監督にしては、登場人物をかなり突き放したような映画でした。ただ、それが少しずつ壊れてゆく街や人を描くのには効果的だったのかも知れません。なにか大切な物を隠しながら、目には見えない速度で崩れてゆく街や人。切なさや哀しみもよりも、滅び逝く運命をつよく感じました。日本映画の様でなく、でも日本映画の様でもありました。
 たしか、大林監督は三日でこの映画の撮影を終わらせたとか、、、柳川の人も、よくこんな映画を自分の街で撮らせたな、と感心もしました。私もぜひ行ってみたいです。

 それじゃ、また。

 

2009.09.05.Sat / 16:32 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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