ロスト・チルドレン  
2002.09.25.Wed / 19:51 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。

何かが欠けているあの不安定な世界で
かろうじて成立している彼らの純粋な関係
それはあたかも砂漠に咲く小さな花
なにかがおこればすぐにでも枯れてしまいそう
でも一生懸命に咲いている

そっと宝箱に入れて
大切にしまっておきたくなるような映画



傑作、秀作、名作。
よい映画には、さまざまな呼び名がある通り、さまざまなタイプがあります。
この映画は、私にとっては、「心のそこに、そっとしまっておきたくなるような映画」でした。

この映画のよさをさまざまな人が、以下のように評しています。
・ドミニク・ピノンの複数人合成の方がすごい。
・フルCGによるリアルなノミ
・個性的で、不気味な登場人物
・ジュネの不思議な悪夢のような幻想的世界観。
・美術と映像がとにかくすごい。

確かにどれもがあたってはいるのですが、どれも私には当てはまりませんでした。 しいて言うならば、

「画面を通して伝わってくる、怪力男のワンと少女ミエットの純粋な関係」

でしょうか。「恋愛」とも(私には)呼べないこの二人の関係は、不器用で繊細、純粋で、しかし、すぐにでも壊れそうな関係。

映画を見ていると、お互いがお互いを、本当に大切にしていることが伝わってきます。
ワンの為にどんな危険な目にあっても、ミエットはワンを決して責めません。
また、ミエットのさりげない自己主張を、ワンは不器用なくせに、大人の愛で受け止めていきます。

「弟は一人でだって生きていけるわ」
「ミエットは妹」

「なにをしているの」
「ヒーター」

この「ヒーター」という行為は、私にとってはかなり印象的でした。
繊細でいて不器用。とても大きな優しさにあふれた行為でいて、でも、どこか抜けている。
まさに、ワンの性格そのものです。
そして、ミエットは、そのすべてを理解して受け入れています。

この作品に出てくる登場人物達は一様に「何か」が足りず、その何かを補うために生きています。
それゆえ「安定感」「安心感」に欠けています。
もしかしたら、その「何か」とは、「安定感」や「安心感」そのものなのかもしれません。
しかし、ワンからはそのような不安定さは感じられません。
しかし、それは「砂漠のなかに奇跡的に咲く花」のようなものです。
あのような世界で、なぜ、純粋さを保つことができたのか、それは「無知」ゆえにでしょう。
すこしでも不純物が入り込んだら、すぐにでも壊れてしまいそうな二人の関係。
そう感じたのは自分だけでしょうか?

ラストの脱出シーンでは、ミエットとワンが二人でボートを漕ぎます。ミエットの本当に幸せそうな笑顔。
「ああ、よかったね。」
心のそこで私は思わずそう、つぶやいてしまいました。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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