天井桟敷の人々  
2005.06.05.Sun / 14:26 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。


愛に狂った6人の男女の物語。
物語的には目新しさはない。常套的と言ってもいいかもしれない。
だが、丁寧に描かれる彼らの心情は痛いほど伝わってくる。
彼らが、愛を求めて苦しむ気持ちが痛いほど伝わってくる。


叶わぬ愛の物語なのではあるが、切なさは、まったく感じなかった。
それは、彼らが、最後には想いを遂げたからであろう。
そして、自分の気持ちに正直に生きたからであろう。
羨望、嫉妬、憎悪、そして恋に焦がれる気持ち。
それらを最後には隠そうともせず、
「自分を愛して。」とまっすぐ相手に突き進む。
そして、嫉妬にかられる相手を殺そうとする。
誰かが悪かったわけでもなく、何かが悪かったわけでもない。
だが、皆がそれぞれの想いをもって突き進んだ結果としての、ラストの悲劇。
それは、それぞれの生き方の悲劇。
分別も無く、破壊的な、それぞれの感情。
しかし、これらの想いこそが、人が生きてゆく原動力なのであろう。
それは、天井桟敷の人々が発している熱気にも似ている。
これらの想いは決して人からは奪えない。消すことはできない。
映画は唐突に悲劇を示して終わる。
あの後、彼らはいったいどうなったのであろうか?
一幕目も十分悲劇的であり、同じ印象にとらわれたにもかかわらず、
しかし、彼らは二幕目には、あの頃は幸せであったと回想する。
しかも、彼らの気持ちがよくわかる。
きっと、この後も悲劇は続くのであろうが、
過ぎ去れば、それらは十分幸せな思い出になるのであろう。
それも、皆がそれぞれの想いをもって突き進んだ結果なのであろう。

この映画はナチの占領下で撮影された。
人の自由な想いは決して奪うことはできないと訴えたかったのかもしれない。


彼らの情事や殺人現場、それらを直接的には見せないのだけれど、
巧みな演出で、見るものに想像をさせる。
そして、心に染みる数々の名台詞。
バチストの見事なパントマイム。
これらも含めて、みごとな映画でした。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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