キャロルの初恋  
2006.04.13.Thu / 22:56 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




大人の世界と子供の世界。
題名がとても淡い印象を与えるが、
この映画の描いている世界は深刻だ。
戦争により、大人の世界がいかに狂い、
それが子供にどんな悲惨な影響を与えるかを描いた映画。

自分の両親がどのような人種であったとしても、
たとえ、どのような思想を持っていたとしても、
それによって、その子供までもが、不当な扱いをされるべきではない。
大人の思想や差別を子供の世界に持ち込むべきではないのだ。

スペインの田舎で出会ったキャロルとトミーチェ。
キャロルのまっすぐな瞳に映し出されるのは、大人たちの矛盾。
トミーチェのやさしい心に映し出されるのは、大人たちの残酷さ。
祖父の家の壁に書かれた、父親を中傷する落書き。
祖父は無視しようとするが、キャロルはそれを許さない。
大人の都合を考えれば、無視してやり過ごすことが安全だ。
逆らえば、何をされるか、分かったものではない。
しかし、そんなことをキャロルに説明できるわけもない。
「自身の安全のために、父親の悪口を聞き流せ。」
そんな大人の世界の理屈は説明できるわけがないのだ。

キャロルのまっすぐな瞳は、お手伝いの女性に言葉を覚えさせ、
従姉にも影響を与える。

父親を殺され、父親を理由に警官である伯父から虐められるトミーチェ。
他の警官も、上官である伯父を止めることは出来ない。
力あるものが、弱きものをいたぶる世界。それを止められない世界。
そして、大人の争いに巻き込まれる形で死を迎えるトミーチェ。
大人の都合で考えれば、トミーチェの行いは軽率な行動だ。
でも、好きな女の子が慕っている父親を助けたい、、
子供にとっては、ただ、それだけの、そして、
とてもやさしい心に基づいた行動なのだ。
しかし、大人の世界では、それが許されない、死を招く行動なのだ。

誕生日に父親が乗った飛行機を、憧れの眼差しで見つめる子供達。
貧富や思想の違いなど、関係がなく、皆が同じ憧れの眼差しで飛行機を見つめる。
しかし、大人たちは、飛行機が白旗を掲げているにも関わらず、
おびえ、戸惑い、憎み、銃を撃つ。
そのこっけいさ。

戦争ばかりではないのかもしれない。
大人たちが狂えば、それは弱い子供に悲惨な影響を与える。

葉の一枚一枚が光り輝く美しい自然。
微笑ましくも、おませな恋愛。
そんな美しい世界を描きつつも、悲惨な映画。
* テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画 *
No.378 / タイトル か行 /  comments(2)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY
- from kimion20002000 -

TBありがとう。
戦争そのものシーンは一切描かず、疎開先の小さな村に押し寄せる戦争の翳、悲惨を描ききっている。見事な映画だと思いました。

2006.09.07.Thu / 09:04 / [ EDIT ] / PAGE TOP△
- from ヤン -

こちらこそ、ありがとうございます。
確かに見事な映画でしたね。
やはり、犠牲になるのは、一番弱くて純粋な子供なんですね。
そんな悲惨さもさることながら、少年少女と自然がとても美しい映画でした。


それじゃ、また。

2006.09.07.Thu / 23:31 / [ EDIT ] / PAGE TOP△

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少年から少女に孵化する瞬間がある少女が薄い皮一枚で、少年のあるいは<無性>の貌を持つことがある。思春期に入る一瞬手前。少年とも少女ともつかぬ、スクっとした肢体。12歳のキャロルを演じるクララ・ラゴ。撮影に入ったときは11歳。そして1年の季節が演じられた。そこ
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