メメント 

「ネタバレ」あり。ご注意願います。





この映画では、「前向性健忘」という病気を持った人物が主人公になっています。
私は、この病気についてはまったく知りません。
多分世の中には、この病気に苦しめられている人、
身内にこのような病の人間がいるかもしれません。
私がこのページを記述する理由は、映画の感想を書くためであり,
このような方々を批難、中傷するためではありません。
ですから、文章中に、気になるような表現を見つけられても、
本意は映画の感想を述べることにあることを御理解願います。


この映画はかなり特殊な作られ方をしており、観客が主人公であるレナードと
同じ感情を容易に有することができます。
見せ方が優れているという一点だけでもたいした映画です。
さらには、最後には思いがけない真実が待ち構えています。
それは、いろいろな意味での逆転です。

「記憶できない」のではありませんでした。実は「忘れたい」のでした。
「利用されていた」のではありませんでした。実は「利用していた」のでした。
「妻のための復讐」ではありませんでした。実は自分のためでした。
「事故の前の自分は覚えている」のではありませんでした。
  自分にとって都合がいい記憶を持っているだけです。
「抜けだせない」のではありませんでした。実は望んではまり込んでいるのです。
「かわいそうな境遇」ではありません。彼は現状を望んでいるのです。

実験的な映画ですが、後半の10分間、私はこの映画の本当の意味を知りました。
それは、失われたものがあまりに大きすぎて、現実逃避をしている悲しい男の話です。

失われた過去は取り戻せません。
しかし彼が求めるものはまさにそれであり、
一生手に入らないこともわかっています。
そうであるならば、真実に目を背け、過去を微妙にすりかえて、巧妙に自分をだまし、
一生この居心地のよい復讐劇を続けていよう、、

この映画では、一見するときわめて特殊な状況を描いているようですが、
実は誰にでも経験があることなのではないのでしょうか?

あなたは、自分に都合の悪いことを忘れてはいませんか?
あなたは、自分に都合のよいように記憶をすりかえてはいませんか?
あなたは、真実と向きあって生きていますか?

コメント

その通り

さすが、鋭いヤンさんは、面白い考察を書かれてますね〜

私は、この映画の斬新な作りにばかり、目が行ってましたが、
「忘れたい」「利用したい」「自分のため」・・・
など読んで、その通りだと思いました。

『この主人公は、きちんと生きてない。かわいそうだ』という思いはあったんですが、
それを、私は上手く言葉に表現できませんでした。
でも、ヤンさんの感想を読んだら、
スッキリできました。

YANさん、こんばんわ。

すっきりしていただいたようで、
こちらとしてもうれしい限りです。
面白い考察、というのも、うれしい表現です。感謝感謝。

本当に斬新な映画でしたね。
時系列で見てしまうと、なんてことのない映画なのですが、上手に魅せている映画でしたね。
表現する内容と、表現する方法、その両方が揃った映画なのかもしれません。

それじゃ、また。

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