人生は、時々晴れ  
2006.06.01.Thu / 22:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




カサカサに乾いた人生。
たとえ、惰性で過ごす毎日であったとしても、
問題がなに一つ解決されていなくても、
人生に潤いを取り戻すことは出来るのだろう。
辛く重い人生に、
静かにそっと、寄り添ってくれるような映画。

映画の冒頭では、
登場人物たちの惰性で乾いた人生が丁寧に描かれる。
夫であるフィルが時折見せるやさしさも、
妻であるペニーには、届かない。
やさしさを示されても、自分が欲しているものと違えば、
人は容易にそれを見過ごしてしまう。
余裕がなければ、なおさらなのだろう。
妻は、息子に対しての威厳のある父親を期待している。
だから、すれ違ってしまう。
それは、息子にとっても同様だ。
ささくれだった息子の心には、どんな前向きな言葉も届かない。
母親の、その身を案じて発せられる前向きな言葉でも、
息子にとっては神経を逆なでするだけなのだ。
世の中には、もっと、悲惨な貧困もあるはずだ。
しかし、この重さは尋常でない。
すべてに裏切り続けられたかのような、絶望感。
行き詰まり、どこにも出口が見つからない、その倦怠感。
これも、当時のイギリスの世相なのか?

映画は、息子の心臓発作をきっかけに、動き出す。
前半が丁寧に描かれているからこそ、
後半の彼らの心情が痛いほど、よく分かる。
フィルが、すべてのスイッチを切って、現実から逃避する気持ち。
ペニーが、いつも、いつも、いつも、そして今度の肝心な時にも、
なんの役にもたたない夫を責める気持ち。
父親らしさを見せようと、休みを取って、旅行に出る提案をしたり、
しかし、母親の心配ごとからは、大きな隔たりがあったり、
母親には息子しかいない、かのごとく息子を溺愛するのは、
やはり父親が頼りなく感じていることの裏返しなのだろう。

しかし、夫は最後には、自らの心情をぶちまける。
いままでは、心を空洞にして、知らない振りをしてきた事を
告白する。
一歩間違えば離婚であったろう。
しかし、家族に笑いを取り戻すことができた。

社会的には何も解決していない。
しかし、夫は早朝から働きに出る。
多分、息子も仕事を探し始めるのだろう。
それは、家庭に笑いが戻ったこととは、無関係でないはずだ。
人生に苦しみはつきものだ、辛いことも沢山ある。
それは容易には解決はされない。
それに挑もうとするのには、
家族の愛情とお互いの尊敬が必要なのだろう。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
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