時をかける少女  
2006.08.11.Fri / 21:40 
「ネタバレ」あり。ご注意願います。




原田知世の最初の主演作目。
典型的なアイドル映画として作成され、
彼女をより魅力的に見せるために、
製作者サイドが細心の注意を払ったような映画。
しかし、そこは大林監督。監督らしさ、
特にスチールビデオで撮影されたタイムトラベルのシーンと、
尾道の情緒溢れる美しさが堪能できる映画。
そして、もしかしたら恋愛とは、とても残酷なもの、なのではないか、
そんな印象をも持つ映画。

どこまでもまっすぐで、透き通るような初々しさ。
ともすれば、ぎこちなく、堅く見える彼女の演技。
見る人によるのかもしれませんが、
それらマイナスをプラスに転じた映画です。
まさに、周りのすべてが彼女を魅力的に見せるために、創られた映画。
しかし、その中でさえ、大林監督らしさが光る映画でもあります。
映し出される尾道という町の美しさ、情緒あるたたずまい。
ともすれば、チープに見える特撮ですが、
スチールカメラを駆使したタイムトラベルの映像。
古ぼけた時計が時を鳴らし、コマ送りで映し出される尾道の小さな路地。
あの土曜日に何があったのか?
過去を目指しタイムトラベルをする和子。
それは、強く念じなければ時のさ迷い人になってしまう、危険な旅。
しかし、深町の助けにより、ついにあの日の土曜日にたどり着く和子。
和子は予感していたのでしょう。そこに深町がいることを。
「さよなら、吾郎ちゃん。」
映画の冒頭では二人の間で揺れ動いていたように見えた和子が、
ここでは、きっぱりと吾郎に決別します。
だが、待ち構えていた事実はとても残酷。
知り合って一ヶ月。そして、お互いの想いを意識し始めた瞬間に、
分かれなければならない運命。

「ずーっと、二人っきりなんだろうねー」
人生の大半を共に過ごし、しかし、
息子たちに先立たれてしまった深町の祖父と祖母。
そして、これからの人生が二人きりであることを深く嘆きます。

時のさ迷い人にはならなかった和子。
しかし、彼女は、恋のさ迷い人となってしまいました。
深町のことは覚えていないにもかかわらず、
薬学部に身を置き、吾郎の誘いも断り続けます。
しかし、再開してもお互いを分からない二人。

大切なものを失えば、誰もがさ迷い人になるのでしょう。
思い出をなくした和子も、
息子たちをなくした深町の祖母も。
そして、目の前にあるものには気づきません。
それは、この世で一番大切なものを知ってしまったからなのでしょう。
果たしてこれは、幸せなことなのか。不幸せなことのか?
だが、とても残酷なことに、思えてなりませんでした。

私にとっては、どのシーンよりも、
和子が吾郎ちゃんに、さよならを言うシーンが印象的。
ありがとう、ごめんなさい、そして、さようなら。
万感を込めて吾郎の後姿を見つめる和子と
その後、決意を決めたかのごとく、
反対方向に歩みを進める姿がとても印象的。
* テーマ:映画感想 - ジャンル:映画 *
No.412 / タイトル た行 /  comments(0)  /  trackbacks(1) /  PAGE TOP△ 拍手する
COMMENT TO THIS ENTRY

  非公開コメント
TRACKBACK TO THIS ENTRY
『時をかける少女』あらすじ『放課後の理科実験室でラベンダーの香りを嗅いだ途端、気を失ってしまった女子高生の芳山和子。それから後、彼女は度々奇妙な現象を体験するようになる。過去や未来に行けるタイムスリップ能力が備わってしまったらしいのだ。突然...
2007.01.12.Fri .No74 / 39☆SMASH / PAGE TOP△

ご注意

ブログ内検索

全ての記事を表示する

プロフィール

ヤン

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

フリーエリア

FC2カウンター

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

フリーエリア

CopyRight 2006 Heaven of the Cinema All rights reserved.