母親を、永遠に続く愛を求め、
女たちの間をさまようカサノバ。
よくあるストーリーなのかもしれません。
しかし、判官贔屓なのかもしれませんが、
ハルストレム監督が描くと、
そんな、ありきたりのストーリーも、
極上の恋愛コメディに仕上がります。
そして、カサノバを助けにきた女性の正体。
ラッセ・ハルストレム監督の「しみじみ、ほのぼの」の魂は、
ここにも健在を示してくれた映画。
永遠の愛を求め、女性たちの間をさまよいます。
永遠の愛を見つけることは、
母親が自分を迎えに来てくれることと、等価だからなのでしょう。
しかし、その武勇伝(?)は、
尾ひれがついて、庶民の娯楽にさえなってしまっています。
途中までの、バタバタ喜劇は、これが、ハルストレムの作品か?
と思わずにはいられない展開。
こういった作品は、とかく下品になりがちです。
ですが、とても上品に仕上がっています。
カメラワークや美術、なによりも役者の使い方、配し方。
さすがにハルストレム監督です。
最後に明かされる、母親の息子への愛情。
母親は決して息子を忘れてはいなかったのです。
それは、とても幸せなエンディング。
そして見つけた永遠に続くであろう恋愛。
恋愛は、こうあるべきだ、と諭しているわけではないのでしょう。
しかし、人が人を好きになり、その好かれることは、
それ自体がとても幸せなこと。
それが母親ならば、なおさらのこと。
そんな、当たり前のことを実感させてくれた映画。